嵯峨野文化通信 第96号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 

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              〔嵯峨野文化通信〕 第96号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

                      ★VOL:96(2010/2/1)

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  ○【連】からのお知らせ — 「森の部品ー元土御門(モトツチミカド)の森ー」展開催!
               老松嵐山店 菓子展のご案内
               弘道館が新聞に掲載!
               『新撰組リアンinKYOTO』に協力
               メルマガ100号へのカウントダウン開始!
               学生デザインコンテスト作品募集
  ○訂正とお詫び
  ○(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』—— 第十一回
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』———————- 第四十八幕
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第六十首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]2月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○「森の部品-元土御門(モトツチミカド)の森-」展開催!

  前回メルマガ95号でお知らせしました、弘道館で1月24日、25日に行われたプレ
 オープンイベント「北尾博史 森の部品ー元土御門の森」の本イベントが、2月11日よ
 り開催されます!「シリーズ菓子とアート ’初っぱな’」と銘打たれたこの展覧会は、
 アート作品と京菓子のコラボレーションです。
  モトツチミカドの地に出現する森を感じ、菓子を愉しみに、ぜひお越し下さい!

 「シリーズ菓子とアート ’初っぱな’ 北尾博史 森の部品ー元土御門の森」
 日程:2月11日(木)~21日(日) ※会期中は無休
 時間:12時~18時
 費用:無料 (別途1000円で菓子と薄茶をお楽しみいただけます。是非どうぞ!)
 場所:弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1)
 
 弘道館HPはコチラ
 http://kodo-kan.com/index.html

 ○老松嵐山店 菓子展のご案内

  【連】の活動に協力いただいている老松嵐山店のスタッフが「イラスト」をモチーフに
 した菓子展を企画されました。
  イラストを得意とするスタッフが、イラストと京菓子の対話を表現します。
  サブカルチャーと京菓子の出会い、ともいえる意欲的な企画です。
  どうぞお越し下さい!

 「心を造るアートギャラリー -伝えるイラスト 答える和菓子-」
 日程:2月17、20、21日(3日間)
 時間:10時~16時30分
 場所:老松嵐山店2階(右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20)
 アクセス:嵐電「嵐山」駅下車、徒歩5分
      JR「嵯峨嵐山」駅下車、徒歩10分
 入場料:500円(抹茶・菓子付)
 問合せ:075-881-9033(老松嵐山店・担当塩貝)

 ○弘道館が新聞に掲載!

  本日(2月1日)発行の『京都新聞』別刷版3面「遊空間」のコーナーにおいて、「弘
 道館」が紹介されました。京都御所近くのこの場所は、江戸時代の儒学者、皆川淇園(み
 ながわきえん)の学問所・弘道館址とも伝えられる場所で、現在は古い京屋敷が建ってい
 ます。
  嵯峨野文化通信元旦号でもお伝えしましたが、実は、この邸宅はマンション建設のため
 に取り壊されることになっていたところを市民による保存運動により、「弘道館」として
 再興されることとなりました。今年は【連】の新たな活動拠点の一つともなります。
  かつて多くの門弟たちが出入りした学問所「弘道館」で、ぜひ、みなさんも文化や芸術
 を堪能してみて下さい。

 ○『新撰組リアンinKYOTO』に協力

  京都市の観光企画として出版された、人気グループ・新撰組リアンによる京都観光案内
 写真集が出版されました。
  老松と弘道館が撮影場所として協力しているほか、【連】の太田が随所に登場!?
  (注・顔は写っていません。犬飼千賀子氏作の太田さんの着物を探してみて下さい!)
  ぜひご覧下さい。

  『新撰組リアンinKYOTO』
  発行日:2010年1月25日
  発行所:日本テレビ放送網株式会社
  定価:1800円+税

 ○メルマガ100号へのカウントダウン開始!

  ありがたいことに、もうすぐ「嵯峨野文化通信」は100号を迎えます!!
  この機会に、編集者一同、メルマガ読者の方に楽しんでいただけるような100号記念
 企画ができないかと考えております。どういった企画が掲載されるかは、100号を迎え
 てからのお楽しみ!
  また、お時間おありの方は創刊当時のメルマガを読み返してみてください。日本文化に
 関する、新たな発見があること請け合いです!
  それでは皆さん、心待ちにしていて下さいね。

 メルマガ創刊号はコチラ 
 http://archive.mag2.com/0000185716/20060220160500000.html

 ○学生デザインコンテスト作品募集

  前回メルマガ95号でもお知らせしましたが、学生の方を対象とした、デザインコンテ
 ストを行います。
  京の街を彩る名産品の数々は、京都の顔です。中身は勿論、名産品を包む「ショッピン
 グバック」にも「京都らしさ」は表れます。
  今回は、そんな「ショッピングバック」のデザインコンテストのお知らせです!
  この企画は、【連】代表の濱崎加奈子がプロデュースに関わっています。
  学生の皆さん、外へ向けて発信する京の名品を包むアイデアを出してみませんか?

  「学生デザインコンテスト」
  募集区分:A.パッケージ B.ショッピングバック
  テーマ:あしたの「京都らしさ」
  応募資格:大学生・大学院生(個人又はチーム)
  応募〆切:2月15日(月)
  応募方法:コンテスト参加登録用紙と応募作品を、期間内に指定する事務局へ郵
      送又は持参。

 お問合せはコチラ
  京都名店会(京都市中京区烏丸通夷川上ル 京都商工会議所内)
  TEL:075ー255ー2500
  FAX:075ー256ー4028
  E-Mail:office@kyoto-miyage.gr.jp

 HPはコチラ
  http://www.kyoto-miyage.gr.jp/

 ○訂正とお詫び

  前回1月21日発行のメルマガ臨時号でお知らせいたしました、「明倫アート2月号が
 発売されます」という記事の中で、冒頭に「京都工芸繊維大学の、芸術センターが発行し
 ている雑誌」とありますが、正しくは「京都芸術センターが発行している雑誌」です。
  申し訳ありませんでした。今後、正しく記述するようにしていきますので、これからも
 「嵯峨野文化通信」をよろしくお願いいたします。

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                  (連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』
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               第十一回 餅の原料とは

                                    太田 達

  餅の原料は何かと問われれば、誰もが「米」と答えるであろう。米は、生物学的に解釈
 すると、植物としての稲(Oryza sativaイネ属イネ科)の果実である。果実である籾から、
 籾殻、糠、胚芽を取り除いたものが、白米であり、厳密にいえば、これが、餅の原料とい
 える。生態型的にみると、稲は、ジャポニカ、インディカ、ジャバニカの3種にわかれる。
 そして、さらに、その澱粉の性質によって粳米と糯米にわかれる。これは、粘度の差によ
 る分類であり、澱粉の化学構造の違いに起因している。粳(ウルチ)性は amyloseが約2
 0%、amylopectionが約80%で構成されている。糯(モチ)性は、 amylopectionのみの構
 成である。

  この違いをもう少し詳しく説明すると、澱粉は、六単糖類の glucose(葡萄糖)の化合
 物で、それには、二種類の分子があり、これが、 amyloseとamylopectionということにな
 る。分子構造的に、amyloseは、多数のα―glucose分子がグリコシド結合によって重合し
 直鎖状になった高分子化合物(完全な直鎖ではなく1分子あたり5~20の分枝がある)
 でありその数およそ1000個が直列に結合している。 amylopectionは、多数のα―glu
 cose分子がグリコシド結合により重合しているが、 amyloseとは違い非常に枝分かれの多
 い構造になった高分子である。解りやすくいえば、 amyloseは、直線であり、熱水に溶け
 る。amylopectionは分子の塊と考えられる、熱水には溶けない。これが、ウルチとモチの
 食感の違いを決定している。

  また、搗きたての餅は、粘りがあり柔らかくて味もおいしいが、時間が経つと粘りも無
 くなり固くなり味も落ちる。このことは、澱粉の物理的な構造から理解することができる。
 熱を加えた澱粉、すなわち加熱澱粉は、α澱粉と呼ばれ、非加熱澱粉β澱粉と区別する。
 熱の加わらない状態では、amylopectionは、β澱粉の状態で規則的に並んでおり消化酵素
 が滲み込まない。ところが、熱を加えると、澱粉はα化し分子が不規則運動を起こし、隙
 間が生じる。この隙間に消化酵素が滲み込むことによって味を感じるのである。さらに、
 遺伝学的にみると、稲は、二倍体の植物で、ウルチ稲とモチ稲を交配した時に生じる雑種
 の第一世代はすべてウルチ性が現出し次の第二世代になるとウルチ性とモチ性が3対1の
 割合で現出する。つまり、モチ性は、ウルチ性の突然変異によって生じたものであり、劣
 性の性格を有している。

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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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             ─第四十八幕─  ~地方議会と城の話~ 

                                   梅原 和久

  都道府県や市町村等の地方議会は、国会よりも身近な話題を扱っているにも関わらず、
 一般的には関心を持たれることが少ない。予算決算だけでなく、主要なトピックは必ず新
 聞にも掲載されるのだが、そもそもほとんどテレビで取り上げられないのが原因だろう。

  ただ地方議会では、その自治体にまつわることならありとあらゆることが議論の対象と
 なるため、地元の城に関する議論も当然ながら各地で行われている。現在はほぼ全ての自
 治体が議事録をネットで公開しているため、自宅に居ながらにして、簡単に情報収集がで
 きてしまう。
  
  最近では、三年ほど前にこの連載で取り上げた福岡城の櫓の保管部材に関する質問が、
 昨年12月の福岡市議会で取り上げられたのには驚いた。やはり議員の中にもこういった
 事実に関心を持つ方がおられるのである。

  簡単に内容をおさらいしてみる。かつて福岡城にあった花見櫓と潮見櫓という二つの櫓
 が、明治になって市内の崇福寺に移築された。これを福岡市が、城内への再建を目指して
 平成二年(1990)から翌年にかけて約4千万円で購入。しかしバブル崩壊などで再建
 計画自体が頓挫してしまい、長さ8m×幅60cmのものなど数百本の建材が現在でも倉
 庫に眠っている、というものである。市議会では、この事実を指摘した上で、今後の整備
 方針が問われた。

  答弁に立った教育長によれば、櫓再建には1棟あたり3億円が必要であり、厳しい財政
 状況が続く中では再建の見通しはたっていないという。ただ、続いて答弁した市長が「具
 体的な福岡城跡の保存活用計画について検討」することを約束したことから、この問題は
 大きく前進することになった。

  如何せん税金を使った事業なので、実施段階で優先順位がつくのは当然だが、やはりこ
 うやって表に出てこないと何も始まらないのもまた事実である。
  同じ号(※)で指摘したように、京都の二条城にもこの福岡の例と全く同様の状況があ
 る。さて、こちらはどうなるだろうか。

 (※)2007年に書いた保管部材の話はこちら。
   http://archive.mag2.com/0000185716/20070701213048000.html

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                     (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                  第六十首

                                   田口 稔恵

  いくよしもあらじと思ふ世の中のえしも心にかなはぬぞ憂き
  (曾禰好忠 「好忠百首和歌」)

 (生きる手だてもないように思われる。世の中が、どうしても心に適いそうもないのがつ
 らいことだ。)
  

  この歌の中には、「物の名」が隠されている。和歌では、よく花の名など、風流なもの
 が隠されているのだが・・・

  ヒントは、今年のカレンダー。そう、中には、十干のひとつ、「かのえ(庚)」という
 語が詠み込まれている。これ以外の十干も、方位も、詠み込んだ歌とセットになっている
 のだ。物の名の形ととりながらも、得意とする(というか不本意な立場ゆえ、魂の叫びと
 もいえる)沈倫の歌に仕立ててしまうあたり、やはり非凡な人物である。

  作者である好忠については、以前取りあげたことがあるので、簡単な紹介にとどめる。
 生前は新奇すぎる歌風が受け入れられず、低い官位への鬱屈と歌才への矜恃が相俟って偏
 屈の名をほしいままにし、沈倫の歌を多く残しながら、後の時代には高く評価された歌人
 である。

  ようやくついた官位は丹後掾で、「曽丹」というあだ名を嘆きながらも、赴任した丹後
 で、鄙びた趣の(それは、後に京の都で流行した田園趣味と合致し、彼の名を高めた一因
 である)歌を多く詠出した。

  彼の新しさは、一首の歌の中にとどまらない。古今和歌集を絶対のバイブルとし、部立
 もその規範に則ることが多かった時代、1ヶ月を三等分し、季節の推移に従って10首ず
 つ詠みあげた、「三百六十首和歌」をものした。これは、江戸時代になって、雨月物語の
 作者・上田秋成に模倣されている。

  また、三十一首の歌の最初の字をすべて拾うと「浅香山かげさへ見ゆる山の井の浅くは
 人を思ふものかは」の和歌、最後の字をすべて拾うと「難波津に咲くやこの花冬ごもり今
 は春べと咲くやこの花」の和歌となっているという、作曲家のリストも真っ青な、凝った
 作品群もある。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 2月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:2月6日、13日、20日(いずれも、土)
  時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:2月10日、24日(いずれも、水)
  時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「京文化を語ろう」
  日程:2月13日(土)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「宗教から京都を考える~北野~」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:2月13日、27日(いずれも、土)
  時間:13時~14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ★「京都歴史講座」
  日程:2月14日(日)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「龍馬の妻お龍の宅跡碑も建つはずだった-京都市教育会の幻の建碑計画」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「うたことば研究会」
  日程:2月27日(土)
  時間:10時~11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。
   1月16日の勉強会は、9日に振り替えました。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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  明後日は節分ですね♪
  小さい頃は「鬼は外~、福は内~」と、鬼の面を付けて玄関からやってくる父に
 豆を投げつけ、玄関を豆まみれにしていたのを思い出します。
  当時は、歳の数プラス1粒食べられる豆が少なくて嘆いていましたが、最近では、
 食べるのが大変なくらいになってきました。時間は確実に経っているのだなぁと感
 じます。

  ちなみに、今年の恵方は西南西らしいですよ。みなさん、存分に福を呼び寄せて
 下さい!
                                (きしもと)

     [次回は、2月15日(月)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。