伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第62号
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日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?
伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:62 (2008/9/1)
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○【連】からのお知らせ———- 第二回「浴衣の日」について
伝統みらい研究センター・ニューヨーク講演会
三壷庵茶会
○(連載)『丹後と京都』———————– 第三回
○(連載)『ニッポン城郭物語』—————– 第三十二幕
○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』——- 第三十一首
○[嵯峨野学藝倶楽部]9月開講講座のお知らせ
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【連】からのお知らせ
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○「浴衣の日」について
8月9日(土)に第1回「浴衣の日」が無事終了しました。
多くの方に浴衣を着て来ていただき、大成功を収めることが出来ました!
「浴衣の日」第2回目は9月6日に行います!
少し気候も秋らしく、過ごしやすくなってきましたが、残り少ない夏の日を、浴衣で過
ごしてみませんか??
浴衣が好き!という方、着てみたいけど持ってないし・・・という方も、お気軽にご参
加ください!
日時:9月6日(土)※以下の2つの教室にて行います。
今様・白拍子教室(13:00〜14:00)
茶道教室 (15:00〜20:00)
会場:三壷庵
内容:浴衣で嵯峨野学藝倶楽部の講座を受講する
参加費:無料(講座に出られる場合は、各講座の受講料がかかります)
・浴衣で会場にお越しください。
・浴衣をお持ちでない方で、希望される方はお貸しします。(事前申込を願います)
・当日の着付けも可能です。「私も着付けができるよ」という方、是非お手伝いをお願
いします!
※普段着での参加も勿論可能です
お問い合わせは
伝統文化プロデュース連 info@ren-produce.com まで。
○伝統みらい研究センター・ニューヨーク講演会
連のメンバーの太田達が、ニューヨークで講演をします。
日本の伝統的な文化や技術を世界に向けて発信する試みです。呈茶や菓子づくりのワー
クショップなどもあり、充実した内容になっております。ニューヨークにお住まいの方に、
ぜひお声をかけてください!
日時:9月12日(金)
会場:ジャパンソサエティ(ニューヨーク)
詳しくは下記URLをご参照ください。
http://www.cis.kit.ac.jp/~kazushi/NY08/
○三壷庵茶会
伝統文化プロデュース【連】が主催する嵯峨野学藝倶楽部の、「茶道教室」の受講生に
よるお茶会です。3回目となる今回は、京都東山を望む贅沢な立地にゆったりと建つお茶
室、「堪庵」で開催させていただくことになりました。
お茶の経験がない方も、この機会に体験してみてはいかがでしょうか。
日時:9月28日(日)午前10時〜14時
場所:京都国立博物館内 茶室
内容:薄茶席
費用:700円
準備の都合上、参加希望の方は下記まで申し込みください。
伝統文化プロデュース【連】
メール:sagano@ren-produce.com
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(連載)『丹後と京都』
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第三回 「天の橋立」
太田 達
8月16日、17日の両日、TV番組の取材を手伝う機会を得た。AD(アシスタント
ディレクター)の都合がつかなくなり、急遽ピンチヒッターがいないかと、知り合いのプ
ロデューサーから依頼されたのだ。条件は映像に興味のある若い人、ということであった
が、「丹後の道を知り尽くし、取材現場の経験もあり、安全運転の信頼がもてる人の条件
を満たしているのは私しかいません」と、ガキの頃からの夢をかなえるチャンスとばかり
に売り込んでしまった。
番組のタイトルは「にっぽん巡礼〜心に響く百の場所〜」。桂福團治師匠が愛別離苦さ
れたご子息や、橋立の伝承を語り継いで亡くなっていった地元の語り部たちへ思いを込め
燈籠を流す、という内容である。(※)
「宮津の燈籠流し」は、日本三大燈籠流しの一つである。実見するのは初めてである。
小さな燈籠だけを流すのではなく、新盆を迎えた家ごとに長さ3メートル、高さ2メート
ルほどの精霊舟をつくり、家から宮津湾の岸堤に運ぶ。役所の観光課の人によると、新盆
の各家は、専門の業者に依頼し、20万円ほどかけて各戸ごとに趣向を凝らすらしい。役
所の人は、誇らしげに説明してくださったが、つくる側の人たちは口々に、「市には出舟
料までとられる」と、その大変さを強調していたのが印象的であった。
夕方7時からおよそ1万個という赤と白の燈籠が流され、その中に浮かぶ51基の精霊
舟に火が放たれ、その背景には大輪の花火。凄まじい程、幻想的である。そのシーンを撮
る必要が生じ、人手が足らなくなったので、なんとその大役が私にまわってきた。ADか
らの異例の大抜擢である。
点灯から30分、滝のような雨が天から落ちてきた。カメラを濡らしてはいけない。新
米カメラマンの私は、右手の傘でカメラを守り、左手でズーム、右膝で三脚のアームを操
作し、カメラをパーンさせ、無心でファインダーを覗いていた。全身濡れ鼠であることを
忘れてしまう程、ファインダーの中の世界は美しかった。土砂降りの海面は泡立ち、水蒸
気が生じ、無数の燈籠は雲上に押上られ、幽明の境を漂う。私がカメラを構えるこの岸壁
の堰堤は此岸であり、私の眼前こそ彼岸。海上には他界が広がる、「海の彼方、山の彼方」
こそ、日本人の祖霊信仰の原点であろう、と改めて自覚させられた。
この宮津の燈籠流しの話を京都に帰って、或る会でした時である。
「宮津は行事、イベントをなんでも京都に被せてくるね。燈籠流しって大文字の日やろ。
宮津の人は、京都を意識し過ぎと違うか」
数名の会話の参加者たちは皆、この意見に同調したが、ちょっと待てよ、精霊送りはど
こでも8月16日ではないか。なぜ、その場に居合わせた生粋の京都人たちはうなずいた
のか? これは、宮津の人たちが、京都を意識しているのではなく、その真逆であり、京
都人こそが、宮津を意識している事になるのではないか。
実は私は今まで何度もこういうシーンに出くわしたし、前からの疑問なのだが、京都の
人は、夏に海水浴に行く時に、高浜、和田、由良にはよく行くのに、白砂青松の美しい天
の橋立海水浴場に行ったというのを、あまり聞いた事がない。この取材の時も、天の橋立
海水浴場の駐車場に停車していた自動車のナンバーは、神戸、姫路、大阪がその大半を占
めていた。
京都人は天の橋立が苦手なのではないだろうか? 股覗きは聞いた事があっても、実際
にした事のある人は少ないし、赤福餅は食べた事がある人は多くいても、文殊の智恵の餅
を知ってる人は少ない。
「大江山いくのの道はとおけれどまだふみもせず天の橋立」
この歌の認知の仕方も、他府県人のそれと大して変わらず、百人一首として認識している
だけのような気がする。京都府内に存在する日本三景なのに、遠足や町内のイベントなど
で、そろって行ったというようなことは京都で聞いた事があまりない。
今回の宮津行きでは、一部開通した京都縦貫道を使えば老ノ坂から2時間で着いた。し
かし、ついこの間まで、宮津までは9号線、27号線、舞鶴から海岸線をくねくねと、お
よそ4、5時間かかった。また、鉄路も、大変不便だ。だが、「天下の名勝 天の橋立」
なのにどうして、他府県の人にくらべて京都人は行きたがらないのであろうか。
そう、まさに、「天下の名勝」が、その理由となるのではないか。橋立が丹後という別
国にあった江戸時代まで、遊山はあった。人口比を考慮すると室町、平安と遡る程、橋立
行の重みが増すような気がする。京都府という同じ行政区になると、京都であって、京都
じゃないという、京都人の複雑な感情によって、橋立行が後回しにされたのかもしれない。
−了−
(※)10月下旬放送予定。番組のHPはこちら。
http://www.nhk.or.jp/junrei/
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(連載)『ニッポン城郭物語』
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―第三十二幕― 〜松江家老屋敷にまつわる話〜
梅原 和久
最近、立て続けに同じようなことがあった。携帯電話に写真が送られてきて、「ここは
どこの城でしょう?」と試されるのだ。しかも、写っているのは石垣や橋、堀だけ。城の
建物はなくとも、周囲の雰囲気をヒントにして見事に当てたことは言うまでもない。出題
者は皆、驚いてはくれたが、それより呆れた、いやむしろ引かれたような気もする。
その時の出題の一つで、堀に浮かぶ舟と堀端の松から特定したのが松江城。松江といえ
ば、天守が現存してる城跡だけでなく、城下町も江戸時代の雰囲気を色濃く残しており、
歴史的景観を大事にしていることで有名な町である。
実は現在、その松江でも遺跡保存と開発に伴う問題が起こっている。最近、こういった
啓発系の内容が続いているが、それだけ遺跡破壊が頻繁に行われていること、また、それ
は文化財等に対する首長の態度と必ずしもリンクしないため、どこの町でも起こり得る、
ということを言いたいがためなのだ。
今回の一件は、松江城堀端の家老屋敷跡に、市の歴史資料館を建てる、というもの。よ
りによって、歴史資料館を建てるために、貴重な家老屋敷の遺構を破壊する、というので
ある。
もともと計画段階から、その場所が家老屋敷であることは判明していた。対応を検討す
るために、全体の4分の1ほどを発掘した段階で県教委と市教委の協議が行われ、その時
点では顕著な遺物がなかったことから「現場をそのまま保存するのではなく図面などでの
記録保存にとどめる」との方針が定められた。
しかしその後、礎石が整然と並んだ江戸初期の建物跡や庭園池、江戸後期の祈祷具など
の発見が相次ぎ、状況が一変。歴史学会・考古学会でも注目される遺跡となった。にも関
わらず、方針変更等の検討は行われないまま、8月18日に行われた臨時市議会で、資料
館の建築請負契約が可決され、9月中旬にも着工する見通しとなったのだ。
建設を進める市の側からすると、計画変更が行われればこれまで長年に渡って進めてき
た段取りが白紙に戻るだけでなく、長期化することでコストが増大する、といったマイナ
ス面しかないように思えるだろう。しかし、基本的に所有者の意向を優先せざるを得ない
民間のマンション建設等とは訳が違い、松江城が築城された近世を前面に出した観光に力
を入れている松江市の歴史資料館なのである。40億円とも言われる巨費を投じる事業が
将来に禍根を残すことにならないよう、長期的な展望をもって再検討してもらいたいもの
である。
(※)松江市のHP
http://www.city.matsue.shimane.jp/jumin/bunka/bunka/bunkazai/rekishi_kihon/
この件に関する新聞報道
http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000140808250001
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(連載)やまとのくには言の葉のくに
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第三十一首
田口 稔恵
秋近う野はなりにけり白露の置ける草葉も色変はりゆく
紀友則 (『古今和歌集巻』 巻10 物名)
(野はもう、秋が近くなったのだなあ。白露の置いた草も、秋めいて色が変わってゆく
よ。)
この歌は、四季の序列を中心とした古今和歌集にあって、秋の部への入集ではない。
「物名(もののな)」という部立に分類されている。
物名とは、和歌の中に、その名の通り、物の名前を詠み込んだもの。どこに物の名が潜
んでいるか、お気づきだろうか。「あきちこうのはなりにけり・・・」と仮名にしてみる
と、可憐な紫の花が立ち現れる。「桔梗(きちかう)の花」だ。
紀友則は、古今和歌集仮名序作者の紀貫之の従兄弟にあたる。共に古今和歌集の撰者で
あったが、友則は完成前に没したと思われ、巻16の哀傷歌の部で、貫之が死を悼む歌を
詠んでいる。
さすが血筋なのか、貫之、友則とも整然として上品、理が勝った詠みぶりが得意なよう
だ。人や事象をよく観察する眼力があった人々なのだろうと想像される。在原業平の代表
歌「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(古今和歌集巻1 春歌上)
は、日本人の美意識や心性をよく伝えた作品として、長く国語の教科書に採択され続けて
いる 。
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◆[嵯峨野学藝倶楽部] 9月開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:9月3日、17日(いずれも水曜)
時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越しください)
※見学/体験も、随時受付けています。
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:9月6日、20日、27日(いずれも土曜)
時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越しください)
※見学/体験も、随時受付けています
★「今様・白拍子教室」
日程:9月6日、27日(いずれも土曜)
時間:午後1時〜2時(60分)
※見学/体験も、随時受付けています。
性別・年齢・経験は問いません。
源氏物語千年紀にちなんだ勉強会やイベントも予定しています。
★「京文化を語ろう」
日程:9月20日(土)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
内容:「料理」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
★「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずねて」
日程:9月21日(日)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
テーマ:「木屋町三条瑞泉寺と洛東円山公園」
参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
※1回のみの参加も、受付けています。
★「うたことば研究会」
日程:9月27日(土)
時間:午後2時〜3時30分(90分)
参加費:今様・白拍子教室受講生は無料
一般 500円(資料代)
※月1回、今様・白拍子教室の後に開催しています。
●URL
http://www.ren-produce.com/sagano/club/
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
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今回、久し振りに実家に帰省しました。
いろいろと歩き回ってみると、半年前と景色が違っていることに驚きました。
新しくコンビニができていたり、マンションが増えていたり。また、なじみのある建物
が取り壊されていたり・・・。
少し寂しさを感じつつ、それでもこの街から受ける雰囲気や印象は変わらないことにほ
っとしました。やっぱり地元はいいですね!
(まつだ)
[次回は、9月15日(月)に配信予定です! 次回もお楽しみに。]
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