【開催報告】信仰からみる京都2026「信仰と菓子~出町柳駅~」

今年度の「信仰からみる京都」は、「京街道編~伝統の食文化をたどる道~」と題して、京街道に息づく伝統の食文化に目を向け、菓子が生まれ受け継がれてきた背景をひもときます。土地の歴史や人々の祈りとともに育まれた味わいをたどりながら、京都の食がもつ奥深い魅力に触れていきます。

5月23日(土)開催の第2回目は、「信仰と菓子~出町柳駅~」をテーマに、神にお供えする食として「神饌(しんせん)」のルーツや各地の有名な神饌、また、京阪出町柳駅近辺の史跡・名勝、さらには出町柳から若狭小浜に通ずる「鯖街道」について、講師である太田達が探訪し考察した内容を中心に話を進めました。
 
「粢(しとぎ)」は、米などの穀類を一晩水につけ柔らかくなったものをすり潰し固めたもので、火を使った調理方法を人間が知る以前の炭水化物の摂取方法であるとも考えられています。これが神饌(神様へのお供え)のルーツと考えられます。粢を置いておいて発酵したものが「酒」であり、「蒸し」「焼く」「茹でる」という工程を経たものが「餅(菓子)」になります。これらは、神餞の代表的な物となっています。現代でも、他家へ訪問するときは、菓子や酒を持参しますよね。これがコミュニケーション・ツールの基本と考えられます。これら神饌は、祭礼のあと「撤饌(てっせん)」として、神のお下がりを人々が共にいただく「直会(ないらい)」すなわち宴会へとつながり、やがて人々の暮らしへと受け継がれ、酒や雑煮、餅菓子など多様な食文化へと発展していきました。各地には、特徴のある餅菓子などが名物として受け継がれています。
 今回のテーマでもある「出町柳」の食として有名な「豆餅」。大福餅の一種ですが、大福餅のルーツは、明和9 (1772) 年に江戸・小石川御箪笥町で「腹太餅(はらふともち)」が売られたと記録が残っています。また、腹太餅は、現在の佐賀県・福岡県にかけて、長崎県から始まる朝倉街道、いわゆる「シュガーロード」沿いで多く出現してきます。そして「豆餅」に関してもそのルーツを対馬の「だんつけもち」と考えらると持論を展開しました。
その他、出町界隈の寺院や史跡、賀茂大橋など「出町四橋」、下鴨神社に流れる泉川など4つの川にまつわる話や、朝廷に海産物などを献上する「御食国(みけつくに)」の一つである若狭と、出町を結ぶ鯖街道や、鯖鮨、へしこ、熟れ鮨などに関する話など、太田の細部にわたる解説に、参加された受講者の方は、感心と納得の表情で聞き入っておられました。

お菓子は「青梅」でした。

講座「信仰からみる京都」は来月以降も開催いたします。
2026年前期 信仰からみる京都・京街道編~伝統の食文化をたどる道~


◆開催概要
2026年前期 第2回「信仰と菓子~出町柳駅~」
開催日 2026年5月23日(土)
有斐斎弘道館 太田 達(有斐斎弘道館 理事、立命館大学教授)

※当イベントは終了しました。

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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