2026年度前期の「信仰からみる京都」は、「京街道編~伝統の食文化をたどる道~」と題して、京街道に息づく伝統の食文化に目を向け、菓子が生まれ受け継がれてきた背景をひもときます。土地の歴史や人々の祈りとともに育まれた味わいをたどりながら、京都の食がもつ奥深い魅力に触れていきます。

4月11日(土)開催の第1回目は、「水菓子と葛菓子~京阪石山駅~」をテーマに、古くから薬用・滋養食として知られる「葛(くず)」の有名な産地や葛が原料の菓子の紹介やその謂れ、また、京阪石山駅近辺の史跡・名称や石山寺門前の「食」などについて、講師である太田達が探訪し考察した内容を中心に話を進めました。
葛(くず)はマメ科のつる性多年草で、非常に繁殖力が強く、全国どこにでも見られる秋の七草の一つです。根から取れるデンプン(葛粉)は、葛餅や葛湯、漢方(葛根)に利用され、繊維は葛布として活用される、食用・薬用・工芸品にと、全部が利用できる有用植物です。
奈良・吉野の葛は特に上質とされ、大和から宇治川・淀川水系を通じて大阪や京都に運ばれました。なかでも、「吉野本葛」は混じり気のない葛100%の純然たる葛で、さつまいもなどが混じる「吉野葛」より、特に珍重されました。また、掛川・日坂宿の「小夜の中山」では、葛餅が「わらび餅」として売られていました。その他、能登の宝達、伊勢、若狭・葛羊羹、九州の秋月、仙台の白石なども葛の産地として知られ、葛餅、葛素麺、温麺などの「名物」が誕生しています。これらの葛を使用して京都の老舗菓子屋でも葛菓子や水菓子が多数売られています。
京阪石山駅近辺には、日本三名橋の一つ、「瀬田の唐橋」があります。この橋は古来、壬申の乱をはじめ、奈良時代の藤原仲麻呂の乱、平安時代末期の源義仲と源義経・範頼の瀬田合戦、鎌倉時代の承久の乱など、幾多の戦乱の舞台となりました。また、橋のたもとには、俵の藤太(藤原秀郷)のムカデ退治の伝承をもつ「龍王宮秀郷社」があります。また、近江国一宮の建部大社、源義仲や松尾芭蕉の墓がある義仲寺。芭蕉は義仲ファンであったので、自分を義仲の墓の隣に葬ってほしいと遺言しています。
その他、観音霊場としての石山寺、そこから宗教的行事としての巡礼として熊野詣でや伊勢参り、山岳信仰の話など、歴史や宗教の細部に入り込む太田の解説に、参加された受講者の方は、感心と納得の表情で聞き入っておられました。

「信仰からみる京都」では、毎回テーマに因んだお菓子もご用意しております。
今回は「葛焼き」でした。
講座「信仰からみる京都」
2026年前期 信仰からみる京都・京街道編~伝統の食文化をたどる道~
◆開催概要
2026年前期 第1回「水菓子と葛菓子~京阪石山駅~」
開催日 2025年11月24日(月・祝)
有斐斎弘道館 太田 宗達(有斐斎弘道館 理事、立命館大学教授)
※当イベントは終了しました。





