嵯峨野文化通信 第162号

伝統文化プロデュース【連】メールマガジン

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)____________________________

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)   [嵯峨野文化通信] 第162号
       (_______________________*°。・゜。。・゜。

 伝統文化プロデュース【連】は
 日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識について
 遊びながら学び、広めていく活動をしている団体です

         
       嵯峨野文化通信は、伝統文化を「遊ぶ」ためのヒントを発信します

                毎月1日・15日(月2回)
 
                      ■VOL:162(2012/11/1)

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                  ■□■もくじ■□■

  ■【連】からのお知らせ ——–弘道館文化講座のお知らせ
                  「蕪村の菓子展」が始まりました!
                  「帯を知る/帯を楽しむ」のご案内
                  「京BizS」放送のお知らせ
                  『花園』連載のお知らせ
  ■(連載)『ニッポン城郭物語』————————– 第七十七幕                
  ■(連載)『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』—— 第六十一回
  ■(連載)『北野の芸能と茶屋』————————– 第六十六回
  ■[嵯峨野学藝倶楽部]11月開講講座のお知らせ

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

               □■【連】からのお知らせ■□

 ■「帯を知る/帯を楽しむ」のご案内
 
  今週の土曜日に「帯を知る/帯を楽しむ」が開催されます!
  今回は冬に向けて、テーマは「雪」。雪輪を始めさまざまな冬の帯が登場いたします。
 呉服屋さんに行っても、帯の詳しいお話や裏話を聞く機会ってなかなかないですよね。
 たくさんの帯が揃いますので、見ているだけでも本当に飽きません。
  ご都合の良いお時間にお越しいただけますので、ぜひお立ち寄りください。

  教養サロン「帯を知る/帯を楽しむ」

  日 程:11月4日(日)
  時 間:12時〜16時30分
      *上記のうちお好きな時間にお越しください。自由にご覧いただけます。
      *13時と15時にトークを予定しております。
  参加費:2,000円(茶菓子つき) *要予約
  場 所:有斐斎 弘道館

  お問い合わせ、お申し込みはコチラ
  kouza@kodo-kan.com

 ■弘道館文化講座のお知らせ

 「京都文化教養講座1~天皇からみる京都~」

  日 程:11月10日(土)
  テーマ:「後醍醐帝」
  時 間:11時~12時30分(90分)
  場 所:有斐斎 弘道館
  講 師:太田 達
  参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

 
 「京都文化教養講座2~茶の湯の文化を織る~」

  日 程:11月20日(火)
  テーマ:「宗旦」
  時 間:13時~14時30分(90分)
  場 所:有斐斎 弘道館 
  講 師:太田 達
  参加費:1回2,000円(生菓子、抹茶付き)

  詳細はコチラ
  http://kodo-kan.com/seminar.html
 
  お申込み、お問合せはコチラ
  kouza@kodo-kan.com
 

 ■「蕪村の菓子展」が始まりました!

  先日ご案内いたしました有職菓子御調進所老松の有志による、与謝蕪村をテーマにした
 菓子展が始まりました。昨年の伊藤若冲につづき、今年もさまざまな菓子たちが揃ってお
 ります!
  こちらは、京都府庁界隈まちかどミュージアムの参加事業となっておりまして、ただい
 ま弘道館の周辺でもさまざまな展示が開催されております。ぜひ散策にお越しください!

  「蕪村の菓子展」

  日 程:10月27日(土)~11月11日(日)*水曜日休館
  時 間:10時~17時(16時30分までに入館ください)
  入館料:1,000円(抹茶または煎茶と菓子をお楽しみいただけます)
  場 所:有斐斎 弘道館

  アクセスはコチラ
  http://kodo-kan.com/access.html

 ■「食・器」展のお知らせ

  上七軒にある洋菓子店GRACE SAISONのパティシエ、出石陵磨さんと陶芸家の小林航
 さんによる食と器の展覧会が弘道館にて開催されます。
  期間中には、弘道館で出石さんの洋菓子もお召し上がりいただけます。
  洋菓子と陶器のコラボレーションをぜひお楽しみください!

  「食・器」展

  日 程:11月22日(木)~24日(土)
  時 間:10時~17時(16時までに入館ください)
  入館料:500円(茶菓子は別途300円) 
  場 所:有斐斎 弘道館

 ■「京BizS」放送のお知らせ

  【連】代表の濱崎加奈子が、KBS京都の経済情報番組「京bizS」にコメンテーター
 として出演いたします!
  番組後半の「京都びじねす温故知新」というコーナーを担当しています。ぜひご覧く
 ださい!

  KBS京都「京bizS(キョウビズエス)」

  日 程:11月8日(金)
  時 間:21時25分~22時25分

  番組表はコチラ
  http://www.kbs-kyoto.co.jp/now_on_air/tv.htm?p=5 

 ■『花園』連載のお知らせ

  妙心寺が発行している月刊のエッセイ集『花園』にて、伝統文化プロデュース【連】の
 メンバーが交代で連載しています!今月は、陶磁器デザイナーの河原尚子さんです。
 弘道館にも置いておりますので、ぜひお手にとってご覧ください!
 
  妙心寺HPはコチラ
  http://www.myoshinji.or.jp/book/

  『花園』のお問合せ・ご注文は、花園会館部「頒布課」まで
  TEL:075-467-2990

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   
                      
              ■『ニッポン城郭物語』■ 

ー第七十七幕ー  ~二条城の話 その4~

                                   梅原 和久

   現在、二条城には江戸時代から残る建築物が、御殿や櫓、門や米蔵など合わせて20
  棟以上も存在する。ほぼ全てが国宝か重要文化財に指定されており、その数は全国の城
  の中でも姫路城に次いで多い。しかも、姫路城をはじめとする全国の城が明治の廃城以
  降に取り壊され、幕末時点に存在した建築物の9割以上を失っているなかで、二条城は
  幕末の頃からその姿をあまり変えていない、全国唯一と言ってよい城なのだ。
   とはいえ、失われたものも多い。そこで、京都府の行政文書「二条城借受定約並本丸
  返礼一件」から、京都府庁時代の二条城に、どれだけの建物が残存していたのかについ
  て見てみよう。使用したのは明治12年(1879)6月付けで府が城内を調査した際
  の「明細書」及びその別紙図面である。

   まず、外観でもっとも異なるのは、城の外郭の石垣上に、高塀が存在していたことで
  ある。現在では正門である東大手門の南と、東南隅櫓と西南隅櫓の両側に数メートルだ
  け残存しているが、この時点では「延長八百六拾三間五分」、つまり1.57キロメー
  トルもの長さで城の周囲をぐるりと囲んでいた。塀で囲まれているということは、石垣
  の上に樹木がある現在とは随分見た目が異なり、城外から見たときの威圧感も今以上に
  あったことだろう(※)。
   失われた建物のうち、城の外から見えたものとしては、本丸と二の丸の境、城の北面
  にあった太鼓櫓がある。大きさは「桁行三間弐尺 梁行弐間五尺 此建坪 九坪四分四
  厘 但瓦葺 二階建」とあり、現存する西北隅櫓より一回り小さい。その名のとおり、
  時を告げるための太鼓が置かれていた。また、幕末に建造された天守台上の「銅屋根
  二階建」の物見台も、城外から臨むことができたことだろう。
   他に、現存しない建物としては、二の丸西門仮門と番所、北門番所2箇所、台所横の
  番所に台所北などの土蔵三棟、二の丸南面の煙硝蔵と土蔵三棟、二の丸御殿周囲の高塀
  、本丸と二の丸とをつなぐ二階廊下と溜蔵、本丸東門と慶喜が作った本丸仮御殿とを結
  ぶ廊下、本丸仮御殿八棟、本丸西門番所、天守台上の高塀が、この時点で存在していた
  ことがわかる。
   これらの建物は、明治18年(1885)に撤去された本丸仮御殿や、昭和初年まで
  存在した二階廊下と溜蔵を除き、京都府庁が現在地へ移転し、城が宮内庁に移管された
  明治30年代に、離宮としての整備の一環として破却された。
   古写真もなく、ほぼ忘れ去られていたこれらの建物は、京都府の行政文書によって、
  その最後の姿が記録されたのである。

  (※)明治初年、府庁時代の着色古写真。ガス灯が明治を感じさせるが、基本的には慶
   喜の時代の風景そのままである。東南隅櫓と東大手門は、現状とほとんど変わらない
   が、石垣上に高塀が延々と続く様子が見て取れる。画面右端、二条城の北に見えてい
   るのは旧京都所司代の中屋敷(堀川屋敷)の長屋である。
   http://siroshogun.web.fc2.com/siro/nijyo/img/nijyo_04.jpg
   

           ■『源氏が食べるー平安文学に描かれる食ー』■      
 
                   第六十一回       
                                  荻田 みどり

   (前回のつづき)総角巻で、宇治の姫君たちは薫の差配により、匂宮をもてなす準備
  を進めていた。紅葉狩りにかこつけて、匂宮がなかなか来られない宇治の中の君のもと
  を訪れる算段であった。

   準備は万端だった。しかし、匂宮を世間が放ってはおかない。お忍びのはずの紅葉狩
  りは、仰々しく賑やかになる。舟に乗り管絃の遊びや漢詩に興じる。舟には紅葉を屋根
  に葺いた舟飾りがついて、匂宮の乗る舟であることが遠目にもわかる。人々の楽しむ様
  子の中、匂宮には宇治川の向こうにある姫君の邸が遠く感じられる。
人々の浮かれぶりが少し静まってから姫君の邸へ誘おうと、薫も考えていた。ところ
  が、衛門督という人が大仰な隨身(護衛の者)を連れてやってきた。匂宮の母明石中宮
  が、あまり従者もしたがえずに宇治に来ている匂宮のことを聞いて命じたためであった。
   これだけの隨身に見張られていては、匂宮も抜け出して中の君のもとへ行くことは叶
  わない。匂宮も薫も困り果て、興がさめてしまった。

    御心の中をば知らず、酔ひ乱れて遊び明かしつ。

   白けた匂宮や薫とは対照的に、衛門督一行は酔い乱れ、遊び明かす。匂宮たちの計画
  を知らないからもっともなことだが(知っていたらますます止められただろうが)、空
  気を読まない酔い体が、匂宮と薫をさらに味気なくする。姫君の方へは手紙を出すが、
  中の君方は人目を気にして返事もしない。
   下人は網代の氷魚を色とりどりの木の葉にかきまぜるのを見て楽しんだりして、心行
  くまでこの行楽を楽しんでいる。周りが賑やかになればなるほど、匂宮の心は沈み、空
  ばかり眺めている。薫も同様で、紅葉狩りに来ているのだが、向こう岸の姫君の邸の常
  緑の木に、蔦が這いかかっていて、その色に心奪われる。
   一方、事情があったにせよ、関係をもって以降なかなか宇治に来ず、目の前で紅葉狩
  りをしながら邸を訪れない匂宮に対し、姫君たちの心はさらに閉ざされていくのである。
  紅葉の鮮やかさが余計に沈む心に蔭を落としていく

               ■『北野の芸能と茶屋』■                                               
                  第六十六回

                                    井上 年和
   享保四年(1719)5月23日
   「七本松 ちょろけんという一寸法師かるわさ 新椹木町  木や七兵衛 ゐんこノ鳥 
  枕拾壱ノのそき 内野四番町 丹波屋善兵衛」
                           『北野天満宮史料 目代記録』

   「ちょろけん」とは下ノ森七本松広場で催された芸能のひとつである。

  広辞苑によると、「江戸時代、京阪地方で数人一組となり、大きい張抜き籠に目鼻を描
  いたものをかぶり、黒塗りの大笠を戴き、町々を歩き銭を乞うた者。割竹を持った者が
  先頭となって、太鼓・びんざさらなどで調子を取り、『ちょろが参じました。』などと
  唱えた。」とある。なんと広辞苑ではイラスト付きで紹介されており、その特異な姿が
  描かれている。

   三省堂大辞林では、「江戸時代に京都で始まった門付の一つで、江戸では福禄寿に扮
  したものなどが行われた」とある。門付とは、人家の門口で雑芸を演じたり、経を読ん
  だりして金品を乞うことで、万歳・厄払い・人形回し・門説経などがあったという。

   「ちょろけん」という名称は「長老君」から出たという説がある。「ちょろが参じま
  した大福ちょろが」と唱えると、ちょろが足を上げたり、子供を追いかけたりし、また、
  餅や銭を与えると、付添いの男が袋に入れながら家々を一軒ずつ訪れたらしい。
 
   『絵本家賀御伽』をみると、福禄寿の頭の長い張ぼてが、三味線や太鼓に合わせて踊
  っており「ちょろけんといえどあたまは福禄寿ひく三味線のねのつんとつまらぬ。」と
  記されているが、これは大坂のもののようだ。

   滑稽なだけの他愛のない芸だったため、専門の芸人の職掌ではなく、多くは小遣い目
  当ての若者が余興半分に演じていたせいもあってか、子どもや若い女性に遭遇すると、
  面白半分に脅かしたりからかうことがたびたびあったと言う。

   ちなみに、『探偵!ナイトスクープ』ではトミーズ雅がちょろけんについて調査をした
  こともあったらしく、また、伏見区では、伏見人形として「お福ちょろ」、「とくすちょ
  ろ」などが今でも販売されている。

   また、インコをのぞきの見せ物にするなど、18世紀になると下之森での芸能は、神に
  捧げる崇高な芸から、まさに大衆芸へと変容していったのである。
   
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

       □■[嵯峨野学藝倶楽部] 11月開講講座のお知らせ■□

 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧ください。

 ■「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:11月7、14、21日(水)
  場所:7、14日 嵯峨野三壷庵
       21日 有斐斎 弘道館
  時間:7、14日10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
       21日10時〜15時 
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ■「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:11月10日(土)25日(日)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:10日9時~12時、15時~19時  
     25日10時~19時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。
 
 ■「今様・白拍子教室」
  日程:11月10、24日(土)
  場所:嵯峨野三壷庵
  時間:13時〜14時
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ■「うたことば研究会」

  ただいま休講中です。
  再開日が決定次第お知らせいたします。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                 ■□■ひとこと■□■
  
   京都は近頃一気に気温が下がり、秋らしくなってまいりました!
   東京から京都へ帰ってきた方曰く、京都のひとは着衣が一枚分厚いんだそうです。。
   もうすぐ底冷えの冬がやってまいります~。   
                                   (いまむら)
  
      [次回は、11月15日(土)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。