嵯峨野文化通信 第99号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 

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              〔嵯峨野文化通信〕 第99号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!

               毎月1日・15日(月2回)

                      ★VOL:99(2010/3/15)

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  ○【連】からのお知らせ —- 雛祭り茶会ー高遊外的流儀にてー
今様、春の伝統文化奉納
                今様泰山忌
                「江里康慧先生と行く京都仏像めぐり(仮)」ご案内
フォーラム「京の三大祭と町衆」が京都新聞に掲載されました!
京都本おもしろ講座のご案内
  ○(連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』—— 第十三回
  ○(連載)『北野の芸能と茶屋』———————- 第三回
  ○(連載)『やまとのくには言の葉のくに』———— 第六十三首
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]3・4月開講講座のお知らせ

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 【連】からのお知らせ
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 ○雛祭り茶会ー高遊外的流儀にてー

  江戸時代後期の儒学者である皆川淇園(みながわきえん)が創立した学問所弘道館。こ
 れを現代に再興することを目指す【連】の活動の一環として、【連】の太田達が雛祭り茶
 会が行います! 
  弘道館の入り口には、皆川淇園学問所址の石標が立っています。
  内容は“未定”、詳しい時間も“未定”で行われるこの茶会。キーワードは「“高遊外”
 的」流儀です。どんな茶会が行われるのか、気になるところですね!

  日程:4月4日(日)
  時間:朝から日暮れまで
  場所:弘道館(上京区上長者町通新町東入)
  費用:1,000円程度
   ※申込み不要です。
 
  弘道館のHPはコチラ
  http://kodo-kan.com/index.html

 ○今様、春の伝統文化奉納
 
  毎年、4月に行われる八坂神社の「春の伝統芸能奉納」において、「今様・白拍子教室」
 の生徒が今様と白拍子舞を奉納いたします。
  春らしい演目を予定していますので、ぜひ春を感じにお越し下さい。
  今様教室一同、皆さんをお待ちしています!

  日程:4月4日(日)
  時間:13時~
  場所:八坂神社(京都市東山区祇園町北側625番地)
  費用:見学自由

 ○今様泰山忌

  今様謌舞楽会も現家元、石原さつきの先代桝井泰山33回忌が行われます。永観堂の今
 様碑を御前に、泰山先生を偲び、今様と舞の奉納を行います。奉納の様子は自由にご覧い
 ただけます。

  日程:4月10日(土)
  時間:10時頃
  場所:永観堂(京都市左京区永観堂町48)
  費用:無料
     ※永観堂の拝観料は別途必要です。(大人600円 小中高400円)

 ○「江里康慧先生と行く京都仏像めぐり(仮)」ご案内

  今様・白拍子と京都の関係や、今様が広まった背景についてなどを学ぶ講座が、日本今
 様謌舞楽会護持会の主催で、この4月から新たにスタートします!
  第一回は仏師の江里康慧先生と行く京都の仏像巡りです。江里先生の工房である平安仏
 所を始め、数々の仏像が作り出された七条仏所跡などを、江里先生と尋ねる予定です。
  この講座はシリーズとして、見学会と勉強会を予定しています。みんなで今様とその背
 景についてを深く知ろう、それも実際にその場所に行って感じてみようという、【連】ら
 しいマニアックな企画ですが、今まで知らなかったこと、目から鱗の「実は!?」話など、
 新たな発見や面白い世界に出会える企画になると思います。
  ぜひ一緒に今様とその背景について学びませんか? 皆さんのご参加をお待ちしてい
 ます!

  「江里康慧先生と行く京都仏像めぐり(仮)」
  講師:江里康慧氏(仏師)    
  日程:4月11日(日)
  時間:10時~ 
  費用:1,500円(日本今様謌舞楽会護持会会員は500円)
  主催:日本今様謌舞楽会護持会

   ※時間、費用の詳細は未定です。が、大幅に変わるということはありません。
    お申込いただいた方には、詳細が決まり次第おしらせいたします。  
  
    お申込・お問い合わせはコチラまで
    imayou@ren-produce.com

 ○フォーラム「京の三大祭と町衆」が京都新聞に掲載されました!

  京都新聞3月14日(日)発行号に、フォーラム「京の三大祭と町衆」の特集記事が掲
 載されました。
  これは、京都物産出品協会創立60周年を記念したフォーラムで、京都の三大祭である
 葵祭・祇園祭・時代祭を執り行われる各神社の4名の宮司の方々によるものです。このフ
 ォーラムの司会を【連】代表の濱崎加奈子が務めています。この4名の宮司の方々が一堂
 に会されるのは初めてとのことだそうです。また、祭からあきないを考えるという、これ
 までにない視点で語られています。貴重な記事となっていますので、ぜひご覧ください。
  記事からは、三大祭の歩みを通し、京都の産業、商業、そして文化の発展と、京都が賑
 わっていく様が見えるようです。
  なお、前号でお知らせしました濱崎加奈子監修「京(みやこ)のあきない いま・むか
 し・そしてあしたへ」へ行っていただけると、よりその賑わいを感じていただけると思い
 ます。18日より京都高島屋にて開催されますのでぜひお運びください!

 名産品展のご案内はコチラ
  http://www.kyoto-miyage.gr.jp/

 
 ○京都本おもしろ講座のご案内

  京都及び、東京で活躍されている編集者や企画者の方々が、京都ブランドの活用やコツ、
 編集技法など教えて下さる講座が、京都商工会議所の主催によって行われます。
  第一回は、京都の小物や紙など京都での遊び方についての本を多く執筆されている松村
 美賀子氏が講師です。7月には【連】の濱崎も関連講座を担当します。
  学割もありますので、編集や京都のブランド力などに興味のある学生さんも、どんどん
 ご参加下さい!
  そして、京都が好きだという方にもお勧めの講座です!! 奮ってご参加下さい。
  
  第1回「京都のもの・こと・ひとについて、
              書籍の企画・編修・執筆をする=住まう実感から=」

  日程:4月21日(水)
  時間:18時15分~20時30分
  費用:2,500円(京都商工会議所会員及び学生割引 2,000円)
  申込方法:メールかFAXでお申し込み下さい。
      ※4月1日発行のメルマガにて再度お知らせいたします。

 ◆申込先:京都商工会議所 人材開発センター
   e-mail: jinzai@kyo.or.jp  
   FAX: 075-222-2612

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                  (連載)『餅と饅頭ー和漢の境まぎらわす事ー』
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                   第十三回                   

                                    太田 達

  『豊後国風土記』は、豊かな国であるという国名の由来を語っている、神話である。

  その中に、北方より飛来した白い鳥が餅に化生し、しばらくすると、その餅に数千株の
 家芋(里芋)が冬でも繁茂したということが記されてある。ただ、この餅を的として矢を
 射ると、たちまち白い鳥に戻り、南へ飛び去り、民々は死に絶え、田は荒廃したとある。
  つまり、餅は食物のシンボルであり、いかにそれを大切にせよと戒めた教訓譚であるこ
 とに間違いない。が、それ以上に、日本建国における秦氏の役割を認識する話でなかろう
 か。

  豊後には、秦氏の奉祭する宇佐八幡宮がある。八幡神は、ヤハタで、秦氏と同音である
 からして、秦氏との関連が指摘されている。有名な和気清麻呂による宇佐八幡の神託は、
 平城京勢力、大和の王権と訣別をはかる引き金となった。のちに、和気の一族は、栂の尾
 神護寺の開山に関わる。高雄、栂の尾、槙の尾の三尾の中心には、秦氏の泰澄の開山と伝
 えられる、愛宕山がある。この地形の外観は、日本における、秦氏の本願ともいえる豊前
 国香春岳の三峰に類似している。

  「鹿春の郷。此の郷の中に河あり。此の河の瀬清淨し。因りて清河原の村と号けき。今、
 鹿春の郷と謂ふは訛れるなり。昔者、新羅の国の神、自ら渡り到来りて、此の河原に住み
 き。便即ち、名付けて鹿春の神という。」(『豊前国風土記』)

  京都においても、三尾の谷間を縫う清滝川は、保津川に合流し、桂川となり、葛野を潤
 す。その経営の中心が松尾大社である。「大宝元年、川辺腹男秦忌寸都理奉請松尾」とい
 うように、秦氏の祭祀であり、その神は、筑紫の胸形の勧請であり、稲荷大社と同じく、
 弓矢の神事がある。松尾社のまつりの神饌において、餅が重要な位置にある。古式に則る
 という以上に、秦氏が渡来した頃からありそうな形状である。

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                          (連載)『北野の芸能と茶屋』
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                   第三回                  

                                    井上年和

  観応元年(1350)3月23日「祇園執行日記」
 
 (前略)尊命殿見参、北野茶可所望之由申談之処、則被申入、今度不可有子細云々、

  八坂神社の執行に来た客が北野茶を所望したという記事である。時代は少し後になるが、
 延徳三年(1493)4月11日には目代が「御下用」の茶摘みをし、明応八年(149
 9)4月2日には宮仕の下女が「神供用」の茶詰めをしている。

  つまり、北野社で栽培、茶摘み、茶詰めまで行われ、神供用に製造された茶は、北野ブ
 ランドの茶として京都で流通し、愛飲されていたのである。この茶が北野社領にある「御
 子茶屋」で参詣の人や庶民にふるまわれていたのであろう。

  舞妓に客が付かずに暇なときには、「茶をひく」という。この様に現在の茶屋も茶作り
 に携わるような言い方をするのは、北野茶の茶作りの名残なのかもしれない。

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    伝統文化プロデュース【連】
    メール:info@ren-produce.com

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                     (連載)『やまとのくには言の葉のくに』
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                   第六十三首                 

                                   田口 稔恵

   菜の花畠に、入日薄れ、
   見わたす山の端(は)、霞ふかし。
   春風そよふく、空を見れば、
   夕月かかりて、にほひ淡し。

   里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
   田中の小路をたどる人も、
   蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、
   さながら霞める朧月夜。
   (高野辰之 『朧月夜』)

  近頃、若手のアーティストがカバーして、CM曲にも選ばれた、この『朧月夜』。「日
 本人は、原風景を忘れていないんだなあ」と、しみじみと嬉しく感じたことを思い出す。
  諸説あるようだが、国文学者の高野辰之が作詩、作曲家の岡野貞一が曲をつけたと言わ
 れ、大正3年に尋常小学唱歌として採択されている。
 
  菜の花畠、山の端、田中の小路、蛙の声・・・すべて生活の中にとけ込んでいた私は、
 この歌を小学校で習った時、深い実感に打たれたことを思い出す。春の重くしめったよう
 な空気の匂いや、霞む月、夕暮れ時の胸をしめつけるような空の色、生ぬるい風、体がむ
 ずむずするような生命の鼓動・・・それらすべてを、こんなふうな言葉で表現できるなん
 て・・・と、子供ごころに深く感じ入った。

  八六調の伝統的な音律に、文語の歌詞、そして西洋から取り入れられた新たな旋律。
  日本の近代音楽の揺籃期の瑞々しさが遺憾なく表されている。

  「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜に如(し)くものぞなき」と大江千里にも詠
 まれた朧月夜。冴え冴えとした秋の明月とは対極の、だが柔らかくつかみ所のない朧月夜
 の魅力は、長く日本人に愛されてきた。

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 3・4月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:3月17日、4月7日、21日(いずれも、水)
  時間:13時~18時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
     ※3日のみ、10時~15時に変更いたします。
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「京都歴史講座」
  日程:3月21日(日)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「京都の実業家たちも史蹟碑を建てていた-京都史蹟会の建碑」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日時:3月27日、4月3日、10日、17日(いずれも、土)
  時間:15時~20時(ご都合の良い時間にお越し下さい)
     ※6日のみ、13時~20時に変更いたします。
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、随時受付けています。

 ★「うたことば研究会」
  日程:3月27日(土)
  時間:10時~11時(60分)
  監修:田口 稔恵
  ※資料代等が必要です。詳細はお問合せ下さい。

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:3月27日、4月3日、24日(いずれも、土)
  時間:13時~14時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
   性別・年齢・経験は問いません。

 ★「京文化を語ろう」
  日程:4月10日(土)
  時間:11時~12時30分(90分)
  講師:太田 達
  テーマ:「宗教から京都を考える~賀茂~」
  参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回のみの参加も、随時受付けています。

 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/

 お問合せ・お申込みはコチラまで→ sagano@ren-produce.com

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  「嵯峨野文化通信」第100号が、いよいよ次号に迫りました!!
  約4年もの間続けてこれたのも、変わらず精力的に活動している連メンバー、先輩編集
 部の方々、そして何よりも、購読して下さっている読者の方々のおかげなのだなぁ、とし
 みじみ感じる今日この頃。
  記念すべき100号には、そんな皆さんへ素敵な企画をお届けできたらと考えています!
  どうぞ、お楽しみに♪
                                (まつだ)

     [次回は、4月1日(木)に配信予定です!次回もお楽しみに。]

          ♪次号はいよいよ100号です♪♪
             ♪♪お楽しみに!!♪
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。