嵯峨野文化通信 第70号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン 
 
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              〔嵯峨野文化通信〕 第70号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に

          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
               毎月1日・15日(月2回)

   ★VOL:70(2009/1/1)
 
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 ○ 新年のご挨拶 ———————————【連】代表 濱崎 加奈子
  ○ 新年の抱負 ———————————– 太田 達
                           梅原 和久
                           田口 稔恵
  ○【連】からのお知らせ————————— 新春 茶道具・近代工芸展
                           インタビュー記事掲載について
  ○【連】学藝倶楽部たより
  ○[嵯峨野学藝倶楽部]1月開講講座のお知らせ

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  新年のご挨拶
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                  新年にあたり                
                                  濱崎 加奈子

  新年あけましておめでとうございます。
  私事で恐縮だが、去年の元旦は博士論文を執筆していた。除夜の鐘が煩悩を祓うという
 のは本当で、108の音を聞く毎に雑念が振り払われ、心の澄み渡るのを感じた。いや本
 当は追い込まれていただけなのだが、ともかくも論文は無事期限内に提出され、秋には審
 査に通過したが、その間多くの方々に支えられてきた。感謝申し上げる。
  そして今、再び執筆にいそしんでいる。年末年始はものを書く時節のようだ。今度は花
 街にかかわる本。昨年3月に京都市と開催した花街シンポジウムからの展開である。3月
 末には日本評論社から出版される予定である。ぜひお手にとっていただきたい。

  【連】は、文字どおり、人と人が連なり、人と文化、人と歴史がつながっていくことを
 願って付けた名である。人が集まるところに文化が生まれる。その最たるものが茶道であ
 り、花街であると考えている。花街と茶道はに学生時代に自身の伝統文化に対する考えを
 築き導いてくれたものでもある。茶道については、現在開催している[嵯峨野学藝倶楽部]
 の教室の仲間が増え、昨年は茶会を4回、研修を2回開催するなど、活発な動きとなって
 いる。今年も新春から香に関する研修を計画しており、3月には茶会、その後も研修旅行
 など計画している。普段の教室に参加していない方でも参加可能なので、関心のある方は
 お声かけください。

  花街については、10数年来の願いが一つ叶うことになる。花街という文化的土壌とそ
 の歴史について多くの方々に知ってもらいたいという思いから、花街文化研究会を立ち上
 げたのが5年前。去年はシンポジウムの他、目立った活動ができずにいたが、本という形
 で思いを伝えることができることになり、感謝している。
  また、去年は源氏物語千年紀ということで今様チームがおおいに活躍したが、その成果
 あってか、若い学生メンバーが【連】の中に新たなチームを結成してくれた。先日、若手
 チームの会議で彼らによりそのチーム名が【結】と名付けられた。これからの展開が楽し
 みである。今年も多くの人と連なり、「連結」していくことができるよう、真摯に活動に
 取り組んでいきたいと思う。どうかみなさまのあたたかいお力添えを賜りますように。
 ご指導のほど、よろしくお願いいたします。

  本年がみなさまにとって、佳き年となりますように。素晴らしい出会いに巡りあえます
 ように!

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  新年の抱負
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  昨年は、皆さんにとってどんな年でしたか? 今年はどう過ごされますか? 
  [嵯峨野文化通信]元旦号ということで、今回は連載記事執筆者の方々から、新年に向け
 ての意気込みを書いてもらいました。
  【連】の隠れ参謀(?)でもあり、『京都タイムトラベル』と『丹後と京都』の執筆担当
 でもある太田達、『ニッポン城郭物語』担当の梅原和久、『やまとのくには言の葉のくに』
 担当の田口稔恵より、新年の抱負をお送りします!

                 丑の春によせて                 
                                    太田 達 

  丑の年の年初に、皆さんは如何なるものを思われますか?
  牛は、最も人間に身近な動物であるというと、犬、猫のほうが身近ではないかと反論を
 くらいそうです。しかし牛車など、ものを運ぶことや、人を運ぶ事、耕やすことは馬より
 も得意であり、その乳は、酪、醍醐、蘇など美味と栄養を人間に提供し、なによりもその
 肉はすべての部位が最高の食材となる。人間にとって、鶏よりも馬よりも身近な、最上の
 神の与えしパートナー。ヒンデイーでは、ついに不可食の神聖を帯びてしまった。牛頭天
 王、ミノタウルスにいたっては、東洋西洋の人々を魅了してきた神々の両横綱。
  かつて、牛のいる風景というものは、誰にも、どこでも、日常であった。そう、今年還
 暦を迎える人の生まれ年には、都市の近郊でもあたりまえの景色であった。この春を迎え
 るにあたり60年前、運送の担い手であった牛の仕事を奪った自動車がいま滅ぼうとして
 いる予兆が感じられるのはわたしだけであろうか。石油資源の枯渇や、利便の欺瞞の中で
 の自動車産業の終焉は、誰もがそれとはなしに予測していたであろうが、こんなにも速く
 その兆しがあらはれるとは思わなかった。

  「件」(くだん)というものをご存知だろうか。人面牛体の妖怪である。20世紀にな
 ると牛面人体もあらわれるのだが、その「件」、『枕草子』にすでに「その件、くだんの
 如し」との慣用表記が使われている。この「件」は必ず当たる予言をするといわれ、「件」
 の予言の通り嘘偽りがないという意味で使われる。「件」は、大凶事や大変革の前によく
 あらわれ、例えば五島列島で明治42年6月に生まれた「件」は日露戦争を予言(名古屋
 新聞)した。他にも昭和18年終戦を予知した「件」(岩国新聞)や昭和20年空襲を知
 らせた「件」(神戸新聞)など、また小泉八雲も美保関で見聞した「件」の記述を残して
 いる。
  さて、この丑の春、「件」は、私たちに何を教えようとしてくれているのでしょうか?

                  新年に向けて                 
                                   梅原 和久

  嵯峨野文化通信の創刊以来、一日号には毎回城の話を書いてきた。昨年もきっちり12
 回、通算では何と35回である。「よくそんだけ書くネタがあるねぇ」と呆れられること
 も多いが、ちょっと関心を持ってアンテナを張ってみれば、ネタなどいくらでも転がって
 いるものではある。ただ、もともと追い込まれないと動かない性質なので、一番遅い時は
 配信の40分前に原稿を書き始める、なんていう記録も作ってしまった。(編集の岸本さ
 ん・松田さん、いつもすいません!)

  連載当初は城に対する思いなどを気ままに書いていたこの連載だが、昨年は開発に伴う
 遺構の破壊に関する話題が多かった。何もそういう事象が昨年特に増加した、という訳で
 はなく、これまでから全国各地で日常的に起こってきたことである。ただ、「いけいけど
 んどん」で開発を進めてきた昭和40年代頃までとは違い、史跡に対する関心が高まって
 それらを活用した町づくりなども行われるようになった現代でさえ、まだまだこういうこ
 とが起こっている、ということを伝えたかったのだ。しかし、破壊されてしまう段階で報
 告しても結局はどうにもならない訳で、これからはそうなる前に、「そこにあるもの」の
 重要性を訴えていきたい。

  とはいえ、明るい話題も多い。各地の城郭整備の計画が目白押しなのである。これまで
 から大規模な整備が続いている金沢城や熊本城に加え、いよいよ名古屋城本丸御殿の復元
 もこの一月から着工される。昨年後半は景気の悪化に伴う雇用の問題等、暗いニュースが
 目立ったが、これら「平成の築城」という一大公共事業が景気回復の一助となり、各地で
 更に整備が進めば…と夢想している。   

 
                 あらたまの思い                
                                   田口 稔恵

  平成20年度は、源氏物語千年紀にちなみ、今様歌舞楽会の取り組みとして新たな演目
 を創作、公演させていただくというチャレンジの1年でした。今様にとっても、年代の判
 明している史料にその名が現れてから、千年の節目だったからです。

  21年度もまた、20年度のうねりに乗って、またそれに負けぬよう、若手が牽引役と
 なって会を盛り上げてもらえれば、と期待を抱いています。
 
  21年度より、連における今様稽古では、月に一度の「うたことば」を学ぶ会を設定し
 ています。今様の稽古をしているメンバー以外の方もご参加いただけます。
  この勉強会を通し、うた、ひいては日本に受け継がれてきた心性をひもとき、現代の我々
 の生き方に投影できるような学びを、参加者全員で作り上げていけたら、と思っています。

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 【連】からのお知らせ
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 ○新春 茶道具・近代工芸展

   大丸東京店の美術画廊にて、茶道具展が行われます。それに伴い、【連】代表の濱崎
 がコーディネートしました、日本文化講座が開講されることになりました。
  7日間連続で行われる講座では、毎日テーマが変わり、1日1人、計7名の方々に講
 をしていただくというとても豪華なイベントです! 日本の食文化から始まり、建築、民
 族、美術に芸能とさまざまな分野のお話をお聞きいただけます。必ずや、あなたの好奇心
 を刺激するお話があるはず!!
  入場、参加ともに無料です。ぜひ、足をお運びください。
  
  日時:各回とも 午後2時〜午後3時  

  1月14日(水)「京懐石」      栗栖正博 (たん熊北店社長)
    15日(木)「日本の建築・空間」 水谷俊博 (武蔵野大学専任講師)
    16日(金)「身体と日本文化」  横山太郎 (跡見学園女子大学専任講師)
    17日(土)「美術品と価値」   比留間雅人
                    (神戸大学大学院/民間シンクタンク研究員)
    18日(日)「日本絵画の魅力」  井戸美里 (東京大学グローバルCOE研究員)
    19日(月)「日本茶よもやま話」 三好正晃 (祇園辻利社長)
    20日(火)「能楽と茶」     高橋悠介 (法政大学能楽研究所兼任所員)

     ※催しのご案内→http://www.daimaru.co.jp/tokyo/bijutsu/

  場所:大丸東京店 10階美術画廊 
     ※JR東京駅八重洲北口改札を出てすぐです。
      アクセス→http://www.daimaru.co.jp/tokyo/parking070524/

  受講:入場/参加無料 

 ○粟羊羹(あわようかん)づくり
 
  京都市郊外の山崎にある雑貨Shop&暮らしの教室「食と暮らしのうるおいサロン 
 Relish」において京菓子教室が行われます。講師は嵯峨野学藝倶楽部でおなじみ
 の、太田達が担当します。
  前回8月に「わらび餅」づくりのお知らせを掲載いたしましたこの京菓子作りですが、
 今回は「粟羊羹」を作ります! ふるってご参加ください。

 日時:1月25日(日)午後2時〜4時
  場所:Relish
        http://www.relish-style.com/index.html
  講師:太田 達(京菓子司「 老松」主人) 
  料金:3000円(材料費込)
  持ち物 :エプロン、ハンドタオル、筆記具、持ち帰り用容器
  申し込み:Relishサロンへ直接お申し込みください。
       TEL/FAX  075-953-1292
       メール info@relish-style.com            
 
  ◆詳しくはこちらをどうぞ! 
   http://www.relish-style.com/index.html

○ 連なる「和文化」の楽しさ(京都新聞インタビュー記事より)

  12月20日(土)の京都新聞(朝刊)に、私たち伝統文化プロデュース【連】の代表
 濱崎加奈子のインタビューが掲載されました!! 
  「連なる『和文化』の楽しさ」と題され、伝統文化への思いや、【連】創立の動機、ま
 た【連】という名前の由来などが1ページにわたって語られています。

  「私も京都で多くの方に教えてもらうことで、自然と壁が取り払われていった。こうし
  た体験を、皆さんにもしてもらいたいと思うんです」

  インタビューの中でこのように話している通り、【連】ではまず体験していただくこと
 を大切にしています。敷居が高いと思われがちな伝統文化ですが、実際に体験してみると、
 ぐっと身近に感じることができるかもしれません。
  【連】では、今後も多くの方々に伝統文化を体験していただき、そして共に体験するこ
 とで、その楽しさを発信していきたいと思っています。
  新聞記事もぜひお手にとってご覧ください!
  
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 【連】学藝倶楽部たより
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  メルマガの最後に、「嵯峨野学藝倶楽部」なるもののお知らせがあるけれど、いったい
 どのような教室なのだろう?実際に教室に通っている方はどう感じていらっしゃるのだろ
 う?興味はあるけれど、そう躊躇しておられる方も多いのではないでしょうか。
  メルマガ編集者である私、松田も教室に参加されている皆さんに感想をおききしたい!
 ということで、受講生の方の「生の声」をおききして来ました!
  2回目となる今回は、太田先生の講座『京文化を語ろう』の受講生の方にご協力いただ
 きました。

 Q1.この講座を受けての感想・印象に残ったところは・・・

   みなさんの回答の中で一番多かったのが、京文化を様々な視点から深く理解できると
  いうことでした。時に話は世界に及び、また裏話として京文化のディープな内容も聞く
  ことができ、先生の知識・経験の深さに感動された方もいらっしゃるようです。
   一見立ち入りにくいようにみえる「伝統文化」が、とても身近に感じられる講座に感
  銘を受けたとか。

 Q2.この講座で、おすすめ・魅力を感じるところは?・・・

   日常では触れ得ない世界を、型にはまらずに様々な角度から見ることができる。時に
  京都の裏側を垣間見ることもでき、普通の文化講座とは一味違った内容に魅力を感じて
  いらっしゃる方が多いようです。また、おいしい和菓子が食べられることや、実際にそ
  の場所に行ってみる現地見学などもおすすめだということ。
   講座の中で、良い軸やお道具を実際に見ることができるのも楽しみのひとつですね。

  皆さん、毎回の講座でなにかしら驚きと発見をしていらっしゃるようですね。
  1回ごとの受講が可能です。特にお持ちいただくものもございません。
  普段の日常の風景を、新たな視点で眺めてみませんか?
  次回の講座は 1月10日(土)午前11時〜12時30分 です。

  ※お問合せ・お申込みはお気軽に下記までご連絡ください。
   嵯峨野学藝倶楽部 sagano@ren-produce.com

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 ◆[嵯峨野学藝倶楽部] 1月開講講座のお知らせ ◆
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 詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/をご覧下さい。

 ★「茶道教室(水曜日コース)」
  日程:1月7日、21日(いずれも水曜)
  時間:午後1時〜6時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています。

 ★「茶道教室(土曜日コース)」
  日程:1月10日、17日、24日(いずれも土曜)
  時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間にお越しください)
  講師:西村 宗靖・太田 宗達
  ※見学/体験も、受付けています

 ★「今様・白拍子教室」
  日程:1月17日、31日(いずれも土曜)
  時間:午後1時〜2時(60分)
  講師:石原 さつき
  ※見学/体験も、随時受付けています。
  ※性別・年齢・経験は問いません。

 ★「うたことば研究会」
  日程:1月31日(土)
  時間:午後2時〜3時30分(90分)
  監修:田口 稔恵
  参加費:今様・白拍子教室受講生は無料
      一般500円(資料代)

 ★「京文化を語ろう」
日程:1月10日(土)
時間:午前11時〜12時30分(90分)
  講師:太田 達
テーマ:「丹波」
参加費:1回1,000円(茶菓子付)
  ※1回毎の受講が可能です。
  ※京都近郊にかかわりのある料理屋での宴会を企画しています。

 ★「京都史跡ものがたり〜三宅安兵衛の石碑をたずねて」
  日程:1月11日(日)
  時間:午前11時〜12時30分(90分)
  講師:中村 武生
  テーマ:「八幡・松花堂と西村芳次郎」
  参加費:1回 1,000円 (茶菓子付)
  ※1回毎の受講が可能です。
  ※1月11日、3月22日に関しては【連】が発行しておりますチラシと日にちが異
   なっておりますので、ご注意ください。
  ※メルマガ68号に、受講生の方の声を掲載しておりますので、ぜひ一読ください!
   http://archive.mag2.com/0000185716/20081202013500000.html

 *その他、お茶事教室など特別講座をオーダーにて受け付けています。
  人数・日時・予算等、相談に応じて開講いたします。お気軽にお問い合せください。
 
 ●URL
  http://www.ren-produce.com/sagano/club/
 
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  新年明けましておめでとうございます!!
  ついに2009年の幕が上がりました。今年はどんな年になるのでしょう? 毎年が同
 じような年になるのではなく、1年終わる毎に去年よりも充実していた、と思える1年に
 したいものです。
  今年も、みなさんに楽しんでいただけるよう頑張っていきますので、どうぞよろしくお
 願いします!! 
                                (きしもと)

  と、新年が明けた風に書いておりますが、実はメルマガを編集している今はまだ大晦日
 です。新年を迎える前にまず、除夜の鐘の音で煩悩を払わねば!!
  では、みなさんが良いお年を迎えられることを祈って・・・。 

     [次回は、1月15日(木)に配信予定です!次回もお楽しみに。]
 
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。