嵯峨野文化通信 第52号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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             〔嵯峨野文化通信〕 第52号
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    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
               毎月1日・15日(月2回)

                        ★VOL:52(2008/4/1)

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  ○【連】からのお知らせ———————–北野をどり
                         「京都創生文化シンポジウム」
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————-市中の隠
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』—————第二十七幕
  ○やまとのくには言の葉のくに—————–第二十六首

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 【連】からのお知らせ
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 ○第56回 北野をどり

  春の訪れを告げる、舞妓・芸妓さんの踊りが今年も行われます。北野をどりは、上七
 軒歌舞会の舞踊公演です。もともと、上立売浄福寺にある岩上座で行われていた温習会
 が、1902(明治35)年に北野クラブに移り、1952(昭和27)年に開催され
 た「北野天満宮1050年記念万灯会」に協賛して正式に始まりました。

 日 程:4月15日(火)〜25日(金)
 時 間:午後1時、午後3時(日によって、午後5時の公演もあります)
 観覧料:4.300円(茶券付特別席の入場料)
     3.800円(入場料)
 会 場:上七軒歌舞練場(京都市上京区真盛町)

 ☆【連】が運営する「上七軒友の会」会員の方は、北野をどりのチケットを特別料金で
 お求めいただけます。詳細はinfo@ren-produce.comまでお問い合わせください。

 ●上七軒歌舞会のホームページ
 http://www.maiko3.com/

 ○「京都発 花街の文化とまちづくり」を開催しました

  先月16日(日)、【連】が企画に関わったイベント「京都発 花街の文化とまちづ
 くり」が弥栄会館で開催されました。メインのシンポジウムに併せて行われた「建築探
 訪ツアー」や茶会も盛況で、参加者の皆さんからも大好評でした。次号に参加者の感想
 を掲載予定です。

 ●「京都新聞電子版」のURL
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008031600127&genre=I1&area=K1E

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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                市中の隠               太田 達

  華やかな遊興の場所をいくつかみてきた。寺社の門前の一服一銭、掛茶屋の光景は『
 洛中洛外図』の定番である。最も古い時代のものとも言われている「上杉本屏風」など
 でも、あちこちに釜から湯を汲む様子や茶筅を振る姿をみつけることができる。街中抹
 茶天国の観ありである。

  先日、京都迎賓館見学の機会を得た。賛否の評価はひとまず置くとして、あることに
 気付いた。この施設には定番の茶室がないのである。立礼席のような、控えの間のよう
 なものはあったが、理由は「京都は茶室だらけだから」だそうな。もっともである。1
 6世紀の初頭より、天正15年(1587)の北野大茶湯まで、京都で茶の湯がうまれ、
 天皇から下々までがたしなむ、いや親しむように、仮にもなっている。しかし、現在こ
 れほどある茶室の姿を、『洛中洛外図』には見つけることができない。屋内のことであ
 るからかもしれないが、真相はあの「雲」の中である。ということで、当時の公家の日
 記から探りをいれてみよう。
  
 「二日、かつ却の小座敷、人を遣わして之を見せしむ。然るべきもの也云々。所望の事
 なり」
 「六日、今日買得の小屋六帖敷之を引き寄す」      『実隆公記』文亀二年六月

 「四日、押板・棚等前、唐紙師を召し之を張らしむ。同じく大工を召し、所々小造作」
 「五日、畳大工を召す」
 「十二日、庭者を召し、石を立て小樹を栽えせしむ」
 「十六日、早朝、新築の小室、此の座敷に於いて一盞し之を祝著す」
                            『実隆公記』文亀二年八月

  これは16世紀初め、京都の文化世界のリーダーで、古今伝授、御家流香道の祖、
 また、茶道の中興とされる武野紹鴎の師として、東山の次の文化サロンの主宰・三条西
 実隆の日記の文亀2年(1502)の抜粋。実隆が売りに出されていた六畳敷の小座敷
 を買い求め、自分の屋敷内に移築、四畳半に改造したという一連の記録である。貧乏な
 公家達にとって、小座敷の増築が普請の限界であったろう。ここで実隆は、連歌会、和
 歌会を催した。後に新茶わん開きの茶会の記録もある。まさに書院が市中の茶室へとか
 わる瞬間であろうか。 

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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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             ―第二十七幕― 〜天守の装飾の話〜
                                   梅原 和久

  前回、破風こそが城の建物の美しさの要因の一つであり、城を城たらしめ、それまでの
 高層建築との差別化を果たした、と述べた。しかし、城の象徴たる天守に破風が全くない
 城も、数は少ないが存在した。今回は天守の装飾にまつわる話。
  
天守の草創期、安土城や大坂城の天守は大きな入母屋破風を筆頭に、沢山の破風に飾ら
 れた華麗な建物であった。天下人が築いた天守に習い、各地の大名も派手な天守を競って
 建てるようになった。
  そんな中で登場したのが、丹波亀山城の5層天守。築城の名手として有名な藤堂高虎が
 自らの居城今治城天守を幕府に献上したものと言われ、日本の建築史上初の層塔型天守と
 しても有名である。この天守の特徴は、最上階を除き、破風が一つもないことであった。
 破風がない天守は、他にも同時期に建てられた津山城・小倉城・島原城に存在したが、い
 ずれも白亜の漆喰(しっくい)総塗込。華麗に飾られたそれまでの天守とは対照的に、白
 く大きな塔がスッと立ち上がったような、優美な姿であったという。(※1)

  しかし、シンプルで品が良いのは良いが、やはり物足りなさを感じたのだろうか、破風
 のない天守がこれ以上築かれることはなかった。むしろ、見栄えを良くするため、外から
 見える部分だけに破風を付けた、という弘前城のような例もある。(※2)
  昭和30〜40年代にコンクリート製天守が濫造された際、小倉城天守も再建されるこ
 とになった。その際「史実どおりでは寂しい」ということで、実際にはなかった破風が追
 加されるという、とんでもない復元が行われている。ただ、現在の小倉城周辺は、開発の
 ために更にとんでもない状況(※3)になっているので、もはや城跡の風情も何もあった
 ものではないのだが。

 (※1)丹波亀山城天守復元図。
     http://www.city.kameoka.kyoto.jp/kcm/kankou/mati/siro.htm
 (※2)現存天守の一つ。観光パンフ等で見られるのは破風のある南東面ばかり。破風を
     省略した北西面はまるで芝居の「書き割り」状態。
     http://www013.upp.so-net.ne.jp/gauss/tensyu1.htm#hirosaki
 (※3)もはや笑うしかないシュールな姿。
     http://www.amasia.jp/repo_img/143.jpg 

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 やまとのくには言の葉のくに
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                    第二十六首            田口稔恵

心から春まつそのは我が宿の紅葉を風のつてにだに見よ(秋好中宮)
 風に散る紅葉はかろし春の色を岩根の松にかけてこそ見め(紫の上)
                           『源氏物語』「少女(をとめ)」

 『源氏物語』において、源氏の華々しい女性遍歴は前半で終わり、中盤からはより重い恋
 の苦しみや因果に苦しめられる人間・光源氏の姿が浮き彫りになる。そのためか、入内が
 決定している朧月夜に手を出し、須磨に左遷されたところまでは熱心に読むが、それ以降
 はうろ覚え、という読者が多いと聞く(この現象は「須磨帰り」と呼ばれるそうだ)。

  政治的に安定して以降の源氏は、情趣を凝らして造築した自らの屋敷・六条院に、ゆか
 りのある女性達を住まわせた。六条院は四季折々の風情を楽しむ前栽がしつらえられ、四
 季それぞれのイメージに相応しい女性が、前栽が付随する屋敷に住んだ。源氏のかつての
 愛人・六条御息所の娘である秋好中宮の後見人となり、秋に庭に住まわせ、自身は最愛の
 紫の上と共に春の庭に住まいした。秋好中宮が、春に庭の主・紫の上に、「心から春の到
 来を待っているそちらの庭では、今は何も楽しむものがないでしょうから、私の庭の紅葉
 を、せめて風の便りにだけでも楽しんでください」と呼びかけた歌に対し、風・紅葉とい
 う同じモチーフを盛り込んで逆手にとり、「風に散る紅葉は心が軽いものです。春の色を、
 この永久に変わらぬ岩根の松の緑によそえて見てください」と返した、当意即妙の歌であ
 る。

  春と秋、いずれを好むかという「論春秋」の趣向は古くから見られ、『万葉集』の額田
 王の歌は特に有名である。桜と紅葉は「雲錦」とも称され、季節を問わず用いられるデザ
 インとなった。春秋の美をめでる心が、日本の国民性の象徴となりえたということを表し
 ている。

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         ◆[嵯峨野学藝倶楽部]4月開講講座のお知らせ ◆
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        詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
   日程:4月5日(土)
   時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
   ※見学/体験も、随時、受付けています。
   ※事前のお申込みが、必要となります。

  ★「華道教室」
   日程:4月5日(土)
   時間:午前10時〜午後7時(ご都合の良い時間に、お越しください)
   ※見学/体験も、随時、受付けています。

  ★「茶道教室(水曜日コース)」
    日程:4月16日(水)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    <ご要望に応じて、午前中や夜などの時間帯も検討いたします>
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ※事前のお申込みが、必要となります。

         お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  今日から新年度ですね!
 新生活を始められる方も、沢山いらっしゃると思います。慣れない環境にとまどうこと
 も多いでしょうが、新生活を楽しむ気持ちを忘れずに(^▽^)v

   [次回は、4月15日(火)に配信予定です! 次回もお楽しみに(^▽°)]
        ☆治☆
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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