嵯峨野文化通信 第50号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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             〔嵯峨野文化通信〕 第50号
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         日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

    伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
          ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

         京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
               毎月1日・15日(月2回)

                        ★VOL:50(2008/3/1)

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  ○【連】からのお知らせ———————–伝統みらい講演会
  ○【連】協力事業—————————–「京都創生文化シンポジウム」
  ○(連載)『京都タイムトラベル』————-巷所
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』—————第二十六幕
  ○やまとのくには言の葉のくに—————–第二十四首

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 【連】からのお知らせ
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  伝統みらい研究センターは、”伝統産業に内在した暗黙知を形式知化し、それをもの
 づくりに応用し、新たな日本の未来を切り開く”を目的に研究活動されています。今回
 は、伝統みらい研究センター成果報告会および、現代的教育ニーズ取組支援プログラム
 の成果報告という内容のもと行われます。今回の講演には、【連】のメンバーである、
 太田 達が登場いたします。ご興味のある方は、ぜひ、お足お運びください。

 [日時]3月18日(火) 午前9時50分〜午後7時
 [場所]霞ヶ関ナレッジスクエア
     (東京都千代田区霞ヶ関3−2−1霞ヶ関コモンゲート・中央合同庁舎第7号館)
      (TEL:03−3239−1121)
 [参加費]無料

  ●「伝統みらい」のURL
  http://www.kit.ac.jp/01/topics/2007/4dentou070925.pdf

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 【連】協力事業
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 ○「京都発 花街の文化とまちづくり」について

  2月1日(48号)号でお知らせしました、京都の花街について、文化や観光、まちづ
 くりの観点から現状の課題や解決の方向性を全国へ発信する取組として、「京都創生」文
 化シンポジウム「京都発 花街の文化とまちづくり」が、3月16日(日)に、京都市等
 の主催で開催されます。

  このイベントには、全面的に【連】のメンバーが関わっています。シンポジウム等の企
 画には勿論のこと、ポスターやチラシのデザインも連のメンバーが担当しています。是非、
 御参加ください。

 日程:3月16日(日)
 場所:弥栄会館(京都市東山区祗園町南側)

 ★シンポジウム

 時間:午後2時〜4時30分(午後1時30分開場)
 参加人数:600名(事前申込可・当日参加は先着順)
 参加費:無料
 パネリスト(五十音順)
  井上 えり子 <京都女子大学准教授> 
  太田 達   <花街文化研究会代表>
  上林 研二  <地域生活空間研究所主宰>
  高橋 利樹  <島原・輪違屋十代目当主>
  山崎 博行  <京都伝統伎芸振興財団(「おおきに財団」)専務理事>
 コーディネーター
  平竹 耕三  <京都市文化市民局文化芸術都市推進室長>

 申込み締切:3月10日(月)まで
 申込方法:郵便番号、住所、氏名(ふりがな)、電話番号を明記の上、下記の連絡先
      までお申込みください。
      電話番号:075−661−3755
      FAX番号:075−661−5855
      返信フォーム:以下のホームページからご利用ください
      http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html
      いずれも、定員になり次第締切りとなります。

 ●「京都創生文化シンポジウム」のURL
 http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000031057.html

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             (連載)『京都タイムトラベル』―京都・時空・逍遥・記―
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               巷所(こうしょ)            太田 達

  京都の町の成立を考える時、巷所は重要な要素である。「平安京」は、かつて大路小
 路が碁盤の目のごとく縦横に走る整然とした計画都市であった。律令体制の崩壊に伴う
 荒廃の中で、「巷所を企(くわだ)つ」と称される事態が京中(西京はすでになく、主
 に東京を中心にであるが)のあちこちで展開され始めた。巷所とは、ちまた、巷間のこ
 とであり、世間とか町中の意味として使われているが、実は平安京において道路が耕地
 化したところに起因した言葉かとも思える。

  律令制において班給されていた貴族の宅地は道路との境に築垣と三尺幅の犬走りと同
 幅の溝をもち、整然と並んでいた。都大路は朱雀大路の28丈幅は別格としても、大路
 8丈小路4丈の幅をもつ地道であった。その道路の両端がまず耕地化し、12世紀から
 14世紀にかけて公家の領宅を囲み込んでいった。これは都市人口の増加と、道路が公
 道なるがゆえに無税地であった事に起因している。築垣は火災や、戦乱によりくずれ、
 そこに官吏に代わる新しい都市住民たちの長屋形式の住居が大路に沿って形成され、ま
 さに街路が誕生する。『年中行事絵巻』の祭りをみる人たちの長屋は、祭り見物の桟敷
 であり、その建築にみる板間と土間の構造は、『洛中洛外図』に描かれた次代の到来を
 予測させる。 

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                          (連載)『ニッポン城郭物語』
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             ―第二十六幕― 〜破風(はふ)の話〜
                                   梅原 和久

  城を楽しむための基礎知識第3弾、今回は城の建物の装飾について。城の魅力は様々
 ある。実戦に備えた縄張りの妙や、石垣等構築物の迫力は言うまでもない。しかし何よ
 り、建物そのものが美しい、ということは大きいのではないか。美しさの要因の一つは、
 天守や重要な櫓に設けられた破風と呼ばれる装飾の意匠によるものだろう。

  城は単なる軍事拠点ではなく、住民や街道を通る旅人に対して、領主権力がその力を
 誇示するための象徴という役割もあった。そのため、機能性だけでなく外観も重視され
 た。高層建築といえば五重塔くらいしかなかった時代である。塔というものは、方形の
 空間を何層かに重ねただけ、という構造的に単純なもので、基本的には東西南北どこか
 ら見ても外観は同じ。そこに登場したのが、安土城をその嚆矢とする近世城郭である。
 以後、それまでにはなかった日本独自の斬新なデザイン(※1)の高層建築が、日本各
 地に林立することになった。

  塔と城との違いとして、決定的なのは装飾、特に破風の有無である。そこで今回は、
 城を城たらしめ、城の建物をその辺の小屋や塔と差別化することになる、この破風につ
 いて紹介することにしよう。

  破風は、大きく以下の4つに分類される。詳しく解説を書こうかと思っていたら、写
 真付きのページを発見したので、そのアドレスを紹介することで代わりとしてしまう。

 1.入母屋破風(いりもやはふ):屋根の端部であり、天守や櫓の最上階には必ずある。
http://underzero.net/html/cas/cas_m_a.htm#irimoya
 2.千鳥破風(ちどりはふ)  :屋根面に乗せた三角形の出窓。
http://underzero.net/html/cas/cas_m_ta.htm#tidori
 3.切妻破風(きりづまはふ) :軒先まで三角形の屋根の端部を出っ張らせたもの。
http://underzero.net/html/cas/cas_m_ka.htm#kirituma
 4.唐破風(からはふ)    :装飾性の高い、丸みを帯びた形状。
http://underzero.net/html/cas/cas_m_ka.htm#karahahu

  城に使われたことで、江戸期以降、破風は建物の装飾として一般的になった。寺社以
 外で身近なところでは、例えば銭湯の建物などは破風の宝庫である。(※2)大きな千
 鳥破風の付いた「千鳥湯」という銭湯は、全国各地にあるのではないか。今回の復習は、
 お近くの銭湯でどうぞ。

 (※1)破風は、それまでから寺社建築等で部分的には使われていた。
 (※2)銭湯好きの人のページから。
  http://www.kt.rim.or.jp/~tsukasa/sento/subete/gken.htm

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 やまとのくには言の葉のくに
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                  第二十四首            田口稔恵

  互に睦(むつみ)し 日ごろの恩 /別るる後にも やよ 忘るな/ 身を立て
  名をあげ やよ 励めよ/ 今こそ 別れめ いざさらば(『仰げば尊し』2番)

 (互いに友情を大事にしあった日頃の恩を、別れた後にも、なあ、忘れるなよ。
  立身出世して、なあ、頑張ろう。今こそお別れだ、さあ、さようなら。)

  作詞・作曲者不詳のスコットランド民謡とされているが、作詞・作曲ともに当時の教
 育者、伊沢修二ではないかとの説、作詞が大槻文彦・里見義・加部厳夫の合議ではない
 かという説があるという。

  公立の高等学校は、閏年の今年、2月29日が卒業式であった。めっきり歌われるこ
 との少なくなった「仰げば尊し」の、さらに割愛される頻度が高いのが、この2番の歌
 詞である。「軍国主義の名残があるため」とその説明を付すものもあるが、むしろ「立
 身出世」の明確な姿(例えば当時であれば「大臣」や「教授」「社長」など)を、現代
 の社会の中では描きにくくなったのが原因であろう。

  1番は師の導きへの感謝(これがために現場では歌われることが少なくなった)、3
 番は学舎や学生生活への想いが述べられており、2番の、仲間への友情とエールがあっ
 てこそ、学生時代に自分たちを取り囲んだものへの思い出のオムニバスが完成するよう
 に構成されているのである。

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         ◆[嵯峨野学藝倶楽部]3月開講講座のお知らせ ◆
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        詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/club/から

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
   日程:3月8日(土)
   時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
   ※見学/体験も、随時、受付けています。
   ※事前のお申込みが、必要となります。

  ★「華道教室」
   日程:3月8日(土)
   時間:午前10時〜午後7時(ご都合の良い時間に、お越しください)
   ※見学/体験も、随時、受付けています。

  ★「茶道教室(水曜日コース)」
    日程:3月12日(水)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    <ご要望に応じて、午前中や夜などの時間帯も検討いたします>
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ※事前のお申込みが、必要となります。

  ★「花街文化講座」
    日程:3月15日(土)
    時間:午前11時〜12時30分(90分)
    内容:「祇園」
    参加費:1回1,000円(茶菓子付)
    ※1回のみの参加も、受付けています。

  ★「京都歴史講座」
    日程:3月16日(日)
    時間:午前11時〜12時30分(90分)
    内容:「山科・醍醐」
    参加費:1回1,000円(茶菓子付)
    ※1回のみの参加も、受付けています。

         お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  3月3日(月)は、雛祭りですね☆
 雛祭り(ひなまつり)は、女の子のすこやかな成長を祈る年中行事です。この時季にな
 ると、各方面で桃の花を見かけますが、昔は、和暦(太陰太陽暦)の3月の節句(上巳)
 である3月3日(現在の4月頃)に行われていました。今では、新暦の3月3日に行う
 のが一般的ですが、一部では、引き続き旧暦の3月3日にお祝いをされています。

  旧暦の3月3日(現在の4月頃)に雛祭りが行われていた頃、桃の花が咲く季節のた
 め、桃の節句と言われるようになりました。

   [次回は、3月15日(土)に配信予定です! 次回もお楽しみに(^▽°)]
        ☆治☆
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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