伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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〔嵯峨野文化通信〕 第42号
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伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。
京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
毎月1日・15日(月2回)
★VOL:42(2007/11/1)
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○【連】からのお知らせ——————————–「嵐山もみじ祭」
○(連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』———-第四章 〜説五話〜
○(連載)『ニッポン城郭物語』————————第二十二幕
○やまとのくには言の葉のくに————————–第十七首
○京の伝統行事—————————————-貴船神社・御火焚祭
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【連】からのお知らせ
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○嵐山もみじ祭
嵐山もみじ祭は、小倉山の紅葉を讃え、嵐山一帯を守護する嵐山蔵王権現に感謝する祭
です。午前10時30分から始まる午前の部と、午後1時から始まる午後の部に分かれて
います。午前の部には、筝曲小督船・今様船・嵯峨大念仏狂言船・平安管弦船・東映太秦
映画村船などが参加していて、小督船の船上舞台では筝曲、今様船上では今様が披露され
ます。
午後の部には、御神酒船・今様船・民謡京寿船・大覚寺船・天竜寺船・車折芸能神社船・
野宮船・嵯峨大念仏狂言船・平安管弦船・東映太秦映画村船などが参加していて、趣向を
凝らした船が大堰川に浮かび、祭はより賑わいをみせます。
色とりどりの船が、紅葉を背にしたその風情は一見の価値があります。【連】メンバー
も協力している日本今様謌舞楽会による「今様船」も参加しています。来られた方は、ぜ
ひ、さがしてみてくださいね。
また、午後1時から2時まで、大堰川のほとりで島原の太夫によるお点前披露が行われ
る夕霧祭があります。そして、午後2時30分より、ホテル嵐亭前から嵐山ホテル前まで
太夫道中も行われます。
[日時]11月11日(日)
[場所]嵐山・渡月橋一帯(雨天中止)
※参観自由
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(連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』第三章
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説五話 太田 達
午後10時30分、特急「やくも」は松江駅に停車した。この高架式の近代的な駅に
降りたのは、京都での多忙なスケジュールを調整して、社会人の茶道同好会の研修旅行
を”後のり”で追いかける一人旅であり、京都で多忙なスケジュールを調整した上での
事でもあった為、疲労困憊のため、実はあまり気のりのしない旅であった。
一駅先にある玉造温泉はすでに宴もたけなわであろうか、もうすでに皆さん酔いどれ
なのかなどと考えながら、最終バスもないので、南口にあるタクシー乗り場へ向かった。
土曜日というのに、人影はない。この山陰の人口十万人都市の夜の駅は、昔から淋しか
ったが…。日の丸と書かれた黒のハイヤー。ウインドウに560円とあるのを確認し、
少し安心して乗り込む。そして、「玉造の皆美館へ」と告げると、ドライバーはいぶか
しげに、「えっ、玉造ですか?」と返してきた。なるほど、夕食もとっくに終わったこ
の時間に、温泉の老舗旅館に向かうおっちゃんの一人旅(妙に若づくり)は不審そのも
のである。
その時である。景色は昭和五十年の松江駅南口に変わった。映画「三丁目の夕日」の
コマーシャルをテレビで見た時の感じなのであろうか。そこは、薄暗い駅裏で、見渡す
と枯草の空地に、赤さびたトタンの倉庫…。ふり返ると、旧二条駅によく似た木造駅舎
があった。十八歳の私は、明日の二期校の試験の為に、この駅に降りた。何の計画もな
しに、はずみで松江に来た高校生には、宿屋がどこにあるかもわからない。が、当時の
知識の中で「有名」な玉造温泉に行けば何とかなるはずだ。しかし、辺りは暗い。はじ
めての街に着くには夜汽車はあまりにも淋しく、悲しかった。表口である北口にはタク
シーがなく、そこで南口に向かい、一台の黒いタクシーに「玉造に行ってください」と
告げた。そして、その時のドライバーに、不審がられた。三十年前のこの光景はデジャ
−ビュ、いや逆か、人生に同じ場所で同じ舞台、同じ装置、配役。
「お客さん、新しいバイパスから行きますね」というドライバーの一言で一瞬の
夢から覚めた。コンビニ、カーディーラー、ファーストフード店がならぶ、日本のどこ
にでもある国道風景。そこには、もう、松江の大好きなラフカディオハーンに憧かれた
少年の姿はなく、バックミラーには、なんともくたびれた初老をむかえようとするおっ
ちゃんが映っていた。歳月とはおそろしい。三十年はあっという間であった。しかし、
私の子供の頃を基点としての三十年前は、盧溝橋事件(昭和12年)、五・一五事件、
二・二六事件であり、すべてはもう歴史の中の出来事である。車は、玉造の見覚えのあ
るオブジェの前を曲がり、旅館街へ入った。話が、本連載の主旨からそれたのだが、婆
さまの事は、思い出の中の聞き書きなのである。実は、帰京する「やくも」の中で、こ
の原稿を書いているのであるが、乗車前に訪ねた八重垣で婆さまのことを思いだしたの
だ。
八雲立つ 出雲八重垣 妻込みに 八重垣造る 其の八重垣をと詠まれる、スサノオ
とイナダヒメゆかりのお宮である。今は周辺が開けてつまらなくなったが、かつては、
うっそうとしげった黒い森であった。その森の入口に、木製や石製の男根が数多く転が
っている。初老のガイドの私としては、三十代、四十代の女性メンバーには絶対ウケる
と考えたわけであるが、ほんと、こんなに無邪気に喜ばれるとは…。しばし記念撮影に
盛り上がった。実は、三十年前、少年ガイドの私は、祖母をここに連れてきたのである。
その時、七十を越えていたであろう彼女は、なんと、その男根をさもいとおしげにナデ
たのである。瞳は、若く遠くを眺めていた。そのあと、いぶかしげな私に気づき真顔に
なり、萩原家の男たちのこれがあったから、そして未来永劫、この先のこの家の男たち
のそれが、つつがなきように祈ったと私に説明した。番外とも言えるが、この話、家を
継承するという観点で面白くないですか?
(つづく)
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(連載)『ニッポン城郭物語』
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―第二十二幕― 〜小ネタ三題〜
梅原 和久
今回は、最近報道された城関係小ネタを三つ取り上げる。毎日のニュースの中にも、
意外に多くの城ネタが混ざっているものなのだ。
一つ目。九月に名古屋城本丸御殿の再建の話に触れたが、それにまつわるニュース。
つい最近結婚を発表したタレントの青木さやかが、本丸御殿復元の資金として九百万円
を名古屋市に寄付した、という話。(※1)ボウリングの番組の賞金だそうだが、こう
いう形で文化行政に寄付があるのはあまり聞いたことがない。まして城の再建への寄付
とは。城マニアのあいだで彼女の株が上がったのは間違いないだろう。
二つ目。映画撮影のために、伏見桃山城の模擬天守が大坂城に変身した、という話。
伏見桃山城キャッスルランドの閉園後、取り壊しも噂されていた模擬天守。かつて存在
した伏見城のそれとは形状も建っている場所も全く異なるため、マニアからの評価は伊
勢・安土桃山文化村にある安土城天守並みと言って良い。
その模擬天守が、映画の撮影用として豊臣期の大坂城に生まれ変わったというのだ。
ただ、予算の関係もあろうが、有名な「大阪夏の陣屏風」に描かれた天守のような漆黒
の城になった訳ではなく、虎の装飾が追加されたり、鯱が金色に塗られた程度(に見え
る)なのが残念。(※2)夏の陣のシーンで使用する、とのことだが、最後は本物のよ
うに火を放って燃やしてしまえばド迫力の場面になるなぁなどと不謹慎なことを考えて
しまった。
三つ目。国宝天守を抱える松本城の外堀を復元しよう、という構想の話。松本城は世
界遺産登録を目指しているのだが、姫路城と同じ「貴重な城郭建築」というだけでは二
番煎じとなって実現は難しい。そのため、登録に向けた松本城の特色を出すために、こ
の外堀の復元という大事業を始めることになったようだ。
この連載初期に少し触れたことがあったが、外堀が完全に残っている城は日本中探し
てもない。というのも、明治の廃城後に真っ先に手を付けられたのが外堀の埋め立てだ
ったからである。もし松本城の外堀がよみがえれば、建てられた当初の縄張りを残す城
として、日本を代表するものになることだろう。実現には相当の困難がつきまとうこと
が予想されるが、今後の推移を見守っていきたい。
(つづく)
(※1)名古屋城本丸御殿再建への寄付
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20070929/CK2007092902052368.html
(※2)大坂城?へ改装された伏見桃山城
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007102300072&genre=I1&area=K1I
(※3)松本城外堀復元
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20071024/CK2007102402058638.html
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やまとのくには言の葉のくに
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第十七首 田口稔恵
思ひやる心は君に添ひながら 何の残りて恋しかるらん
(『閑吟集』)
(思いやる心はあなたに付き添っているはずなのに、いったい何が残っているせいで、
このように恋しくてならないのか。)
『閑吟集』は、室町期に流行した小歌を集めた撰集である。中国の『詩経』に倣い、
311首限定で所収したため、入集しないまま消えたものも数多かったと推測される。
広く人口に膾炙した歌が多いためか、すらりと読み下して響きが美しい。歌謡としての
側面を色濃く残す、擬音や擬態語の面白さも特徴である。自分の内にある「恋心」を、
自分とは切り離したものとして捉え、相手を重いほどに恋してしまう自分をなんとか慰
めるいじらしい姿が思い浮かぶではないか。「羨や我が心 夜昼君に離れぬ」という類
歌もある。「思ひ出すとは忘るるか 思い出さずや忘れねば」ー切ない恋心を言葉遊び
に乗せて軽くいなす、市井の人々の命の息吹が聞こえてくる。
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京の伝統行事 〜祭に出かけてみませんか?〜
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○貴船神社・御火焚祭
御火焚祭は大祓とともに貴船神社に古くから伝わる神秘な神事で、別名「貴船もみじ
祭」とも言われています。6月は水の霊力で、11月は火の霊力により人々の罪穢を取
り除く、いずれもお清めの神事ですが、水の神様は火の神様からお生まれになったとい
う貴船大神御出現の故事を今に伝える重要な神事でもあります。
[日時]11月7日(水) 午前11時〜12時
[場所]貴船神社(左京区鞍馬貴船町180)
●貴船神社のホームページ
http://www.kibune.or.jp/jinja/
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◆[嵯峨野学藝倶楽部]11月開講講座のお知らせ ◆
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詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/から
★「今様・白拍子教室」
日程:11月10日(土)
時間:午後1時〜2時(60分)
※見学/体験も、随時、受付けています。
▽詳細は、コチラから。
http://www.ren-produce.com/sagano/imayou/
★「茶道教室(土曜日コース)」
日程:11月10日(土)
時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
※見学/体験も、随時、受付けています。
▽詳細は、コチラから。
http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/doyoubi/doyoubi.html
★「茶道教室(水曜日コース)」
日程:11月14日(水)
時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
※見学/体験も、随時、受付けています。
▽詳細は、コチラから。
http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/suiyoubi/suiyoubi.html
お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com
(※いずれの講座も、事前にお申込みください!)
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観光シーズンですね☆ 秋を彩ると言えば「紅葉(もみじ)」! もみじが色付くに
は、日中は暖かく、夜は冷えるという日が続くと、真っ赤な紅葉が楽しめるそうです。
今年は、まだ日中と夜の温度差があまりないですね(>_<)どうなるのでしょう?
[次号は、11月15日(木)に配信予定です! お楽しみに(^▽°)]
☆治☆
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