嵯峨野文化通信 第26号

 伝統文化プロデュース【連】メールマガジン
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             〔嵯峨野文化通信〕 第26号
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        日々の暮らしに「和」の魅力をプラスしてみませんか?

   伝統文化プロデュース【連】は、日本の伝統文化にこめられた知恵と美意識に
         ついて、学び広めていくための活動をしている団体です。

        京都・嵯峨野から、最新の情報を皆さんにお届けします!
              毎月1日・15日(月2回)

                       ★VOL:26(2007/3/1)

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  こんにちは(@^ー^@) 〔嵯峨野文化通信〕です☆

  前号で〔嵯峨野文化通信〕は、リニューアルいたしました。今号でも、新連載『正
 史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』がスタートします! これからも、より一層、充実
 した内容でお届けしていきますので、最後まで読んでくださいね(^▽^)/

それでは、〔嵯峨野文化通信〕第26号のスタートです!

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 ┃も┃┃く┃┃じ┃
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  ○【連】からのお知らせ—————————[嵯峨野学藝倶楽部]
  ○(新連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』—一ノ巻
  ○(連載)『Many Stories of the Tea Ceremony』—第13話
  ○(連載)『ニッポン城郭物語』——————-第十三幕
  ○やまとのくには言の葉のくに———————第二首
○京の伝統行事———————————–賀茂御祖神社・流し雛
  ○『京都文化警察』——————————-"京都らしい景観"って、何?
                            〜証言篇1〜

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 【連】からのお知らせ
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 ○講座「うたことばを遊ぼう 〜和歌から短歌へ〜」のご案内

  田口稔恵先生の講座「うたことばを遊ぼう」が、3月3日の講座をもって一旦終了
 となります。最終講義は「和歌から短歌へ」ということで、一年を総まとめするにふ
 さわしい充実した内容となる予定です。どうぞ、お聴き逃しなく!

 [日時]3月3日(土) 午前10時〜11時(60分)
 [場所]嵯峨野「三壷庵」
 [参加費]1回1,000円(茶菓子付)
 [申込み]sagano@ren-produce.com

 ※なお、田口先生による連続講義は一旦終了しますが、今後も1日講義をお願いして
 います。どうぞ、お楽しみに。

 ○[嵯峨野学藝倶楽部]のチラシ完成のご案内

  【連】が主催している[嵯峨野学藝倶楽部]の講座内容・日程などを掲載した新し
 いチラシが完成しました! 白と黒を基調とした落ち着いた雰囲気の中で写真が印象
 的に使われています。しかも、裏面が、なんと[嵯峨野学藝倶楽部]の開講場所であ
 る「三壷庵」までの地図になっているという、見所たくさんの構成になっています。
 見かけたら、是非、手に取って見てくださいね!

  作成したのは、武蔵野大学人間関係学部環境学科住環境専攻水谷俊博研究室4年生
 の宮地綾希子さん。同講師の水谷俊博さんのアドバイスのもと、完成いたしました。
 お2人に作成の秘話(?)を頂戴いたしました。(↓)

  水谷 俊博(以下T):フライヤー(=チラシ)を実際デザインしてみてどうだっ
             た?
  宮地綾希子(以下A):どうしたら目につくか、どうしたらみんなに手に取っても
             らえるかをまず考えるのが難しかったです。でも、実際に
             周りのいろんな人に聞いてみて、いろんな意見をもらえた
             のでとても勉強になりました。
  T:嵯峨野のまちの様相を醸し出すマップのデザインもがんばったね。デザイン作
    業で一番苦労したところはどこだろうか。
  A:そうですね。まず、レイアウトと文字数などのバランス。年齢層などを考慮し
    てどうしたら読みやすく、わかりやすくなるか。でも、一番苦労したのは、大
    学の課題との両立です(笑)。
  T:それは俺の責任もありだな(笑)。最後にフライヤーの一番の見所は?
  A:全部です!
  T:そうだね。これからもますますデザインのバージョンアップを目論んでいきま
    しょう。乞うご期待です。

    ありがとうございました。宮地さん、これからもご活躍期待しています!

  このチラシは、以下、【連】のホームページから見ることができますので、ぜひご
 覧ください。

 ●[嵯峨野学藝倶楽部]宣伝用フライヤーのURL
 http://www.ren-produce.com/sagano/img/ren-soto.jpg

 ※チラシが欲しい方、または、チラシを置いてくださるところなどありましたら、下
 記のアドレスまで、お知らせください。

 [Eメール]sagano@ren-produce.com

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                 (新連載)『正史 爺婆鏡(ジジババカガミ)』
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        いにしえに「四鏡」という歴史書ありけり。
             『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』これなり。

        今の世に『爺婆鏡(ジジババカガミ)』あり。
              昔を今に映す鏡とて、語り始むるなりーーー。

*「四鏡」=平安時代後期から室町時代前期に成立した歴史書で、「鏡物」とよばれる。

                   一ノ巻
                                  鈴木 岳海

  去年の暮れから、三壷庵で開講している[嵯峨野学藝倶楽部]の茶道の稽古に通っ
 ている。【連】の花街文化研究会に通うにようになり、京都や花街の伝統文化に接し、
 多くの人たちにお話をうかがってきた。そうしたなかで、伝統文化をあたまで理解す
 るだけでなく、なにか、体になじむものを身につけたいと思うようになっていった。

  そんなおり、お茶のお稽古が平日にも開講され、お茶のお稽古では珍しく、茶書を
 読む時間もあると聞いた。これが、お茶をしようと思った一つの大きな理由だった。
 しかし、それだけではなかった。今は誰もいなくなったおじいとおばあの焼き物屋に
 残っていた、おじいの作った茶碗でお茶を点てたいという小さなきっかけからだった。
 そうした話をおばあにすると、おばあとおじいが、かつて京都にすんでいたことをを
 語ってくれた。

  父方のおじいの家系は、岐阜の妻木で代々焼き物をやっている。おばあの家から出
 てきたというある拓本によると、「南朝の忠臣土岐民部輔頼重公之家臣尾関弥二郎景
 春万治二年旗本武士ヲ捨テ野ニ下ル降末妻木郷ニ於テ歴代名主ヲ努メ苗字大小帯刀ヲ
 許サレ姓鈴木ヲ給フ半陶半農ヲ営ミ後瀬戸ニ行キ磁器ヲ習ヒ妻木ニ戻リ長石蛙石目ヲ
 発見シテ新製磁器ヲ作リ・・・」とある。また、[妻木城/近江の城郭ー美濃編]
 (*1)を見ると、「妻木氏は関ヶ原の戦い(1600)に東軍(徳川方)に味方し、
 岩村城(恵那郡岩村町)を攻略します。その戦功により土岐郡内7500石の領主と
 して三代続きますが、万治元年(1658)城主が急死し跡継ぎが無く、妻木氏は断
 絶し妻木城は廃城となりました。妻木城主は代々陶器の生産を奨励し、織部志野など
 に代表される美濃焼を育てた領主としても注目されています」とあり、鈴木氏の出自
 に関してはななだ疑わしいが、陶器の生産に力を入れていた岐阜県の妻木で先祖が焼
 き物をやっていたのは確かでありそうだ。

  おじいの父の長兄が妻木にて焼き物の本家であるため、おじいの父は、妻子を置い
 て長野県の浅間温泉で小さな焼き物屋を営んでいた。おじいの長兄は早くから群馬県
 伊香保で楽焼の釜を開き、独立していた。昭和10年、三男坊であるおじいは、長兄
 のいる伊香保に母と妹を連れて兄の手伝いをすることになった。同じく昭和10年の
 4月から10月の間、群馬県沼田で材木業を営む父を持つおばあは、叔母が営む伊香
 保のお盆専門店で、お盆に絵を書いたりする仕事をしがてら、気ままな生活を送って
 いた。そのころは、同じ伊香保で働いていたので、お互いの存在だけは知っていたが、
 顔を知っている程度で、話をしたこともなかった。

  それから2年後、おじいは近衛兵として2年間の兵役に就き、すでに母親を亡くし
 ていたおばあは父親も亡くし、兄の結婚から居場所をなくしていた。この後、二人は
 京都で再会することになるのだが、今回はここまで。

 (*1)[妻木城/近江の城郭ー美濃編]
 http://siro.parfait.ne.jp/takoku/gifu/tumaki.htm
                                   (つづく)

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                 (連載)『Many Stories of the Tea Ceremony』
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      第13話―極私的茶会記(2)「青森に行きませんか?」の段

                               イチカワ アキラ

  去る平成18年8月16日。夕刻。雨が降る気配はなかったように記憶している。
 京都は折しも大文字の送り火の当日を迎え、まち中が気もそぞろになっているころ、
 である。かく言う私も、その晩の友人との送り火鑑賞にかこつけた宴にぼんやり想い
 を馳せて浮き足だっていた。今年は五山のうち、いくつ見られるかな…。そんな時、
 H女史からメールが一通。「青森に行きませんか?」

  内容もわからないまま、読み進めると日程が目に入る。9月9日と10日。休日だ。
 ほぼ反射的に、行きたい! と返答。日々に疲れ、何かしら遠くへ行きたい気持ちに
 駆られていたし、青森が私にとって未踏の地であったこともその一助となった。<此
 岸>と<彼岸>、<京都=日常>と<青森=非日常>…、こんな愚にもつかない図式
 も浮かんでは消える。

  続いて、女史より概要が届く。以下、抜粋。

 【日程】2006年9月9日―11日
 【場所】国際芸術センター青森 http://www.acac-aomori.jp/
 【茶会】染織アーティストT氏の作品に呼応するような茶会「森の儀礼」を中心に、
     いくつかの茶の場を検討。

  ふむ。安藤忠雄設計の国際芸術センター青森、そのなかの染織アーティストの作品。
 そうだ、三内丸山遺跡や、最近開館したらしい青木淳設計の青森県立美術館のこけら
 落としである「シャガール展」も見に行ける…。こういった楽しい想像にふけったの
 もつかの間、不安の波が怒濤のように押し寄せてきた。<茶の場>とは何ぞや…?
 そこで私は何をするのか…? 前回も記したことだが、私は<茶>を知らない。誤解
 を恐れずに言うなら、おそらく、<茶>を知らない者にとって、<茶>の場はそうそ
 う楽しみにできるものではない。むしろ、避けられるのなら避けたい機会だろうか。
 やれ作法だ、やれ正座だ、懐紙だ、扇子だ…。と煩わしいことばかりが思い浮かぶ。
 そんなことを思いつつも、調子に乗ると、<本来、茶はココロの…>などと一席ぶっ
 たりできてしまうのだから、なおさら始末が悪い。逡巡した結句、そのときは、<見
 知らぬ場で、見知らぬ人と接し、日常とは異なる空気を吸って、枯渇した自身の栄養
 補給とする>といった魅惑が、<茶>にまつわるあまたの不安要素を打ち負かした。
 いま振り返ると、これが<幸い>であった。人生とは、良きにつけ悪しきにつけ、い
 ろいろな選択の積み重ねだ。あのとき、青森行きをためらっていたら、いま、こうや
 って<茶>を考え、茶会記を書いている自分はいない。また、人生には何とも言いよ
 うがない<大きなチカラ>に知らず知らずに巻き込まれていくときがある。そういう
 ときは、私の場合、十中八九、抗わないのが正解である。

  ということで、とりあえず青森行が決定した。となると、気になるのが行き方であ
 る。飛行機は速いが味気ないな…と思い、京都からの往路は初体験の寝台特急<日本
 海>で、復路は八戸まで出て東北・東海道新幹線を乗り継ぐ。図らずも本州を半周す
 る行程となる。道中の車窓から見る海やりんご園を思い浮かべ、俄然、元気がでる…。
 我ながら、現金なものである。
                                   (つづく)
  次回は「打合せしませんか?」の段
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                         (連載)『ニッポン城郭物語』
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                  第十三幕
                                  梅原 和久

  メルマガ全体はリニューアルしたが、私は相も変わらず城に関する四方山(よもや
ま)話を続けることにする。前回は石垣の種類についての基礎講座を行ったので、今
 回は石垣が見所となっている城をいくつかご紹介しよう。

  城マニアでない人にとっては、「石垣しか残っていない城を見て何が楽しいの?」
 といったところかもしれないが、建物がないからこそ、かつての威容を想像する余地
 があり、存分に浸れる、というものだ。この辺りはなかなか共感してもらえないとこ
 ろかもしれないが。

  さて、石垣を堪能するなら、やはり近世の山城(やまじろ、※)がいい。山道を汗
 しながら登っていると突如現れる苔むした高石垣。ただ登るだけでも大変な場所に、
 何万個もの石を運び、積み上げた人足。そしてそれを強いることができた領主権力の
 絶大さ。そんなことに思いをはせながら充分に浸るためには、たとえロープウェーや
 車道が整備されていようとも、山麓の登城口から一歩一歩登るべし。お薦めは奈良の
 高取城や但馬竹田城。備中松山城などは、山頂に天守が現存しているというおまけつ
 きである。いずれもジャングルの奥地に突如現れるアンコールワットやボロブドゥー
 ル並みの衝撃を受けること請け合いである。

  山登りはキツいが石垣は見たい、という方には白河小峰城や丸亀城、さらには加藤
 清正で有名な熊本城などが挙げられるが、イチ押しは豊後竹田城(岡城)である。唱
 歌『荒城の月』の舞台としても有名な城であるが、ここはすごい。広大な城域に累々
 と、幾重にも折り重なるように積まれた高石垣を見て圧倒されない人はいないだろう。
 余計な建物も一切なく、城跡独特の荒涼感・寂寥感も抜群。何はなくとも訪れたい城
 である。

  最後に、忘れてはならないのが大坂城。天守の中にエレベーターがある、というこ
 とで馬鹿にされることの多い城だが、侮ることなかれ。この城の石垣は、秀吉のイメ
 ージを払拭するために徳川幕府が威信をかけて築いた、日本最高のものと言っても過
 言ではない。畳十四畳敷き以上の巨石が十個もあるのもすごいが、堀の底から三十メ
 ートル一気に立ち上がる石垣はどうだ。セメントもコンクリートも使用していないに
 もかかわらず、風雪や地震、戦災にも耐え抜き、四百年近くそびえ続けているのだ。
 是非改めてその凄さを味わっていただきたい。 
                                   (つづく)

 (※)近世の城の分類方法として一般的なのが、築かれた地形の違いから山城・平山
  城(ひらやまじろ)・平城(ひらじろ)の3つに分けるやり方。時代を経るにつれ
  て山城から平山城、さらには平城へと、高地から平地への変遷が行われたとされる。

 【訪問アクセスガイド】

   高取城  :近鉄吉野線壺阪山駅から徒歩
   但馬竹田城:JR播但線竹田駅から徒歩 
   備中松山城:JR伯備線備中高梁駅から徒歩
   白河小峰城:JR東北本線・白河駅から徒歩
   丸亀城  :JR予讃本線丸亀駅から徒歩
   熊本城  :市電熊本城前から徒歩
   豊後竹田城:JR豊肥本線豊後竹田駅からバス
   大坂城  :JR大阪環状線大阪城公園駅、森ノ宮駅から徒歩

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 やまとのくには言の葉のくに
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              第2首―『厄除け詩集』より
                                  田口 稔恵

  コノサカヅキヲ受ケテクレ
  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  「サヨナラ」ダケガ人生ダ
               (井伏鱒二『厄除け詩集』)

  原詩は于武陵(810〜?)の「勧酒」(酒を勧む)。

   勧君金屈巵 〔君に勧む金屈巵〕
   満酌不須辞 〔満酌 辞するを須(もち)いず〕
   花発多風雨 〔花発(ひら)いて風雨多し〕
   人生足別離 〔人生 別離足る〕

  今日、3月1日に卒業式を行う学校も多い。盃を交わすという行為には、古来、人
 生における別れのイメージがつきまとってきた。四面楚歌の状況を察知したのち酒宴
 を催した項羽しかり、「咲いた花なら散るのは覚悟」と歌い、水盃で送り出された出
 撃直前の特攻隊員しかり。「人生は別離でいっぱいだ」とする原詩を、「さよならだ
 けが人生だ」としたところに、この訳詩の命がある。

                 (参考文献:『日本の詩歌 訳詩集』中央公論社)

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 京の伝統行事 〜祭に出かけてみませんか?〜
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 ○賀茂御祖神社(下鴨神社)・流し雛

  古来中国では、春になると水辺に人が集まり、若菜を摘んだり、野外での酒宴をし
 たりしました。また、蓬やハハコグサを摘み、邪気を払う効能を喜びました。これが
 日本の浄穢思想と重なり、上巳(じょうし)、つまり、3月の最初の巳(み)の日に、
 人形(ひとがた)や撫で物に身体の穢れを移して川や海に流すようになりました。

  下鴨神社では、神事の後、編んだ藁に一対の雛人形を乗せた「さんだわら」を境内
 の御手洗川に流して、子ども達の健やかな成長を祈り、厄を祓い無事息災を祈ります。
 下鴨神社の「流し雛」は、いまではほとんど見られなくなった古式の上巳の節供の風
 習を今に伝える行事です。当日は、衣冠装束、十二単の男女や、舞妓さんによる雛流
 しも行われ、甘酒の接待や抽選会なども行われます。

 [日程]3月3日(土)

 ●賀茂御祖神社(下鴨神社)のホームページ
 http://www.shimogamo-jinja.or.jp/

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 『京都文化警察』
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            "京都らしい"景観って何? 〜証言篇1〜

  『京都文化警察』では、前号より、テーマを一つ出して、皆さまからの意見を募る
 ことにいたしました。前号でお出ししたテーマは、「"京都らしい"景観って、何?」
 です。4人の[証言]をいただきましたので、ご紹介します。

 [証言1]

  やっぱり新幹線から見える京都タワーでしょ。修学旅行で、人生最初の京都との遭
 遇が京都タワーよ。東京タワーなんて小せえ、小せえ。だって東京タワーは、東京駅
 のプラットホームから見えますかってんだ。しかし、どう考えても、京都タワーの造
 形ってかっこいいとか悪いとかをすでに超越してるよね。なんだかよそもんを小馬鹿
 にしてるような雰囲気さえある。まさしく京都そのものだ。     (宮部 浩二)

 [証言2]

  パンドラの箱の中の永続性、それでいて意外なるキッチュ     (水谷 俊博)

 [証言3]
  人々の仕事(商売)と生活の両方が道にあふれ出しているような街。地域によって
 仕事と生活の様子が変わり、それにあわせて町並みも変わり、山と空の見え方も変わ
 る。碁盤の目の中でも模様があり、市民の日々の生活が景観の形を作り出す。そんな
 街ではないですか?                       (三木 祐美)

 [証言4]

  京都は、1200年以上の歴史をもつ都市です。それと同時に、日本で7番目に多
 い人口をもつ都市でもあります。京都のお隣、滋賀で育った僕にとって、京都といえ
 ば前者より後者のイメージが強い。つまり、四条河原町のような繁華街が「京都」の
 印象だった時期が長くありました。「地方(郊外)」に育った僕にとって、京都は
 「都会」だったわけです。ところが、よく見聞する「京都の景観」なるものはどうや
 ら違うらしい。神社仏閣や町家などの街並みこそ「京都の景観」らしいのです。都会
 的な景観の代表選手でもある高層建築は、どちらかといえば悪者扱いされています。
 でも、京都が「都会」だった僕にとって、京都の街中に近代建築や高層建築があって
 も、そんなに悪いこととは思わない。清水寺からそういう景観を見ても、「ああ、や
 はり京都は都会だなあ」という感想になります。ただ、それと景観が「よい」か「悪
 い」かは別です。正直なところ京都の街中の景観が「よい」とは思えない。「景観が
 よい」と言われるための条件として、ある程度の一体感や共通性が必要です(芦原義
 信『街並みの美学』)。そうした一体感があるのは、祇園のような伝統建築の保存地
 区の方です。だから、僕も祇園の景観はきれいだと思います。要は、「伝統的/近代
 的な街並み」と「景観がよい/悪い」というのは別なんですね。四条河原町の景観が
 よいと僕が思わないのは、広告・看板で概観の一体感がなくて煩雑だからです。けっ
 して近代的な街並みだからではない。逆に、伝統的な街並みと近代的な街並みの境界
 線上にあるような三条通りの景観は、けっこう共通性があってよいと感じます。
  京都の景観は、たとえるなら「伝統的/近代的な街並み」が縦糸で「一体感のある
 /なし」を横糸にした布みたいなものです。よく縦糸の引っ張りあいが話題になるの
 ですが、実際には横糸がゆるんでいる気がします。近代建築と伝統建築のまざった街
 並みでも共通性を出せて、「京都」という個性を出せるものって何かないんですかね?
                                 (竹中 聖人)

  一口に<京都らしい景観>と言っても、イメージすることや問題意識は、人さまざ
 ま。みなさまにとっての<京都らしい景観>って何ですか? 『京都文化警察』では、
 ひきつづき、「"京都らしい"景観って、何?」というテーマで、ご意見を募集いたし
 ます。上記4証言に対するご意見でも、また新たな[証言]でもOKです。
 「私はこう思う」「いや違う!」などなど、お気軽にご意見・ご感想をお寄せくださ
 い。談論風発。お待ちしています。

 [Eメール]sagano@ren-produce.com

  ※お送りいただいたご意見は、メルマガに掲載させていただくことがあります。

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         ◆[嵯峨野学藝倶楽部]3月開講講座のお知らせ ◆
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         詳しくは、http://www.ren-produce.com/sagano/から

  ★「うたことばを遊ぼう」
    日時:3月3日(土)午前10時〜11時(60分)
    タイトル:「明治の巻〜和歌から短歌へ〜」
    参加費:1回1,000円(茶菓子付)
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/utakotoba/

  ★「サロン文化史〜食の立場から〜」
    日時:3月3日(土)午前11時〜12時30分(90分)
    タイトル:「天武から明治へー肉食解禁令を中心として」
    参加費:1回2,000円(茶菓子付)
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/shoku/

  ★「今様・白拍子教室」
    日時:3月3日(土)午後1時〜2時(60分)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/imayou/

  ★「茶道教室(土曜日コース)」
    日時:3月3日(土)
    時間:午後3時〜8時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/

  ★「茶道教室(水曜日コース)」
    日程:3月7日(水)
    時間:午後1時〜5時(ご都合の良い時間に、お越しください)
    <ご要望に応じて、午前中や夜などの時間帯も検討いたします>
    ※見学/体験も、随時、受付けています。
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/chadou/

  ★「京都歴史講座」
    日時:3月18日(日)午前11時〜12時(60分)
    タイトル:「短冊形地割をつくったのは秀吉でよいか
         (豊臣秀吉の京都・その10)」
    参加費:1回1,000円(茶菓子付)
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/rekisi/

        お問合せ・お申込みはコチラまで→sagano@ren-produce.com

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  ♪トップページに、[嵯峨野学藝倶楽部]の宣伝用フライヤーをUPしました!
   ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/img/ren-soto.jpg

  ♪トップページに、「みんなのうきょう みんなでうきょう」に掲載された[嵯峨
   野学藝倶楽部]のURLをUPしました!
   ▽詳細は、コチラから。http://www.city.kyoto.jp/ukyo/shinbun/1901/1901_06.html

  ♪[嵯峨野学藝倶楽部]のページ・・・講座日程を更新しました!
   ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/

  ♪「嵯峨野文化通信」のページ・・・バックナンバーを追加しました!
    ▽詳細は、コチラから。http://www.ren-produce.com/sagano/merumaga/back/
  
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 │ひ││と││こ││と│
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  リニューアル第2弾は、いかがでしたか? 感想やご意見などお聞かせいただける
 と嬉しいです☆

  さてさて、2月は〔嵯峨野文化通信〕でもお知らせしました、「お茶事〜東風吹か
 ば〜」と、北野天満宮・梅花祭のアンケート調査を行いました。お茶事は「夜咄の茶
 事」の趣向での開催。当日は天候が優れず、お客様が大原に到着される頃には、本降
 りとなってしまいましたが、かえって露地の風情など、楽しんでいただけた様子で良
 かったです。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!

  また、25日の北野天満宮の梅花祭では、花街に関する認知度調査を行いました。
 当日は寒い中、毎年いらっしゃってる方や、ご遠方から初めて来られた方など、快く
 アンケート調査にご協力いただきまして、本当にありがとうございました! アンケ
 ート結果については、後日、【連】の花街文化研究会のページに掲載予定ですので、
 お楽しみにo(^○^)o

  [次回は、3月15日(木)に配信予定です! 次回もお楽しみに(^▽°)]

       ☆治☆
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多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。