「京菓子」とは

 江戸時代の文人が集った学問所址に設立された有斐斎弘道館では、日本文化を学ぶための一つのテーマとして「京菓子」を取り上げてまいりました。「京菓子」は、朝廷文化である有職や茶道文化の上に成立する、世界でも稀にみる芸術的な食べ物です。ここには、学問、美術、技術、風土といった日本の伝統文化を表すキーワードがすべて内蔵されています。また何より、食べて美味しい、共有して楽しい、といった人間の普遍的な喜びの真中に置かれるものでもあります。太古の昔から「菓子」は人と人とをつなぐコミュニケーションツールでもありました。
 京菓子は、選び抜かれた材料、職人の繊細な手法、いくつかの道具だけで作られるたった50ℊの立体造形です。その、きわめて抽象的で洗練されたかたちは、「匠の技」の結集であり、珠玉のアート作品でもあります。その小さな世界に、季節の繊細な移り変わりが表現され、銘(菓子の名前)が無限のイメージを与えます。
 本展覧会は、このような京都を代表する芸術文化であり京都をつなぐ無形文化遺産にも選定された「京菓子」について理解を深めてもらうとともに、日本人の感性や美意識、日本文化の魅力を広く知ってもらおうとするものです。

(京菓子展2019の受賞作品)


本年のテーマ「禅 ZEN」について

万葉集京菓子公募

 公募初年度から「琳派」「若冲と蕪村」「百人一首」「源氏物語」「万葉集」というテーマで菓子展を進めて参りました。6年目となる本年は、茶の湯にその精神が受け継がれる「 ZEN 禅 」をとりあげます。
 茶の湯の歴史は、喫茶文化が中国から禅と共に伝わってきたことからはじまり、その後も禅の精神に影響を受けながら大成されました。近年、世界からも注目を集めている禅。
日本人の感性、美意識は禅から大きな影響を受けました。
 茶の湯だけでなく、現在、世界的にその精神が注目される、禅の世界について、改めて考えるとともに、日本文化の精神と京菓子の魅力を広く世界に発信する機会になればと考えております。