今年度上半期の「信仰からみる京都」は、「歳時記をたどる路編」と題して、歳時記に焦点をあて、ゆかりの深い京阪沿線の土地を取り上げながら、京都の「知」を紐解いていきます。

4月19日(土)に開催した第1回目は、「出町柳駅と下鴨神社【葵祭】」をテーマにスポットをあて、食文化、水辺祭祀の視点から講師である太田達が探訪し見聞した内容を中心に考察・論説をしました。
若狭・小浜へと続く鯖街道の起点である出町柳は、様々な食文化が発達した場所です。なかでも人気があり有名な豆餅や宗旦狐の逸話に登場する豆腐屋、猪肉の店、パンを売っている名曲喫茶などを「出町の食」として紹介しました。
また、出町を考える上で重要となる加茂(鴨)川、高野川に架かる五橋(御蔭橋、葵橋、加茂大橋、出町橋、河合橋)や出町柳界隈に関する歴史や変遷、水にまつわる祭祀などについて、古地図や古写真を用いて解説しました。
最後に、祭のヒロインである斎王代に太田自身の長女も務めた葵祭について、祭における斎王代の位置づけ、役割、それにまつわるエピソードなど、また、祭のシンボルでもある葵と桂に関して、これを用いるのは、両加茂社、日吉社、松尾社、稲荷社のみであり、古代氏族の加茂氏、秦氏とが大きく関わっているとの太田の解説に、参加された受講者の方は、感心と納得の表情で聞き入っておられました。
今回の呈茶菓子は老松製の「葵餅」でした。
本講座の会場参加では、抹茶とともに各回のテーマにちなんだ特別菓子も楽しめます。
5月以降も様々なテーマで開講しております。宜しくおねがいいたします。
5月17日(土)鞍馬駅と鞍馬寺【五月満月祭】
6月28日(土)二軒茶屋駅と上賀茂神社【禊と祓/夏越の祓】
7月12日(土)祇園四条駅と八坂神社【祇園祭】
詳しくはこちらから
◆開催概要
開催日 2025年4月19日(日)
講 師 太田 達
京都市生まれ。立命館大学食マネジメント学部教授。有職菓子御調進所 老松当主。有斐斎弘道館代表理事。歴史、信仰、食文化を研究する一方、国内外で茶会を数多く開く。NHK『ようこそ先輩』、『美の壷』など多数出演。
※当イベントは終了してます。