≪淇園コラム vol.1≫
皆川淇園(みながわきえん/1734-1807)は江戸中期の儒学者で「開物学」という学問を創始しました。「開物学」…聞きなれない言葉ですね。それもそのはず、彼の理論は難解すぎて、彼の思想を引き継ぐ人が現れませんでした。「怪物学」だと揶揄されたほどです。
「開物」とは「<もの>をひらく」ということで、「名」と「もの」の関係性を「音声学」や「韻学」の観点から明らかにしようと試みるものでした。私たちはすべてのものに「名」をつけます。「名」をつけられない「もの/こと」はわたしたちの社会生活においては存在しない、ともいえます。わたしたちは「名」があってこそ初めてそれをそれと認識するからです。なぜわたしたちはその「もの/こと」をそのように呼ぶのか。彼の難解な著作を読み解くことはなかなか難しいですが、淇園の果てしない思索はどこに向かったのか、少しずつ考えてみたいと思います。
参考:皆川淇園における〈開物〉の方法と〈象数〉の思考
(M.K)
≪淇園コラム≫では、皆川淇園にまつわるあれこれを不定期にお届けします。