緊急特別企画

開物楽
-みたまふり-

令和二年の春から夏に移ろうとする頃、
江戸時代に芸術、科学、経済、哲学など多分野にわたる人々が、
新たな知を求めて集った有斐斎弘道館の座敷で、
能が捧げられ、花が立てられました。

「開物楽」は、江戸時代の儒者・皆川淇園が成した学問「開物〈学〉」に因んだ造語です。
「開物〈学〉」は宇宙や自然界の哲理にもとづく言葉の哲学です。

古来、言葉の響き、言葉の美しさを大切にしてきた日本人は、
花や虫など、生きとし生けるものが心をもち、歌を詠み、
言葉は天地鬼神をも動かすと考えてきました。

日本の伝統芸能は、自然や神からの言葉を受けとめて、
その依代となった演者が美の形として伝えてきたものだと思います。

かつて日本人は、疫病が蔓延した時、旱魃、飢饉が続く時、芸能を通して祈りを捧げました。

芸能の原点に立ち戻り、現状の困難に立ち向かう演者たちの勇気が、
たくさんの方々に伝わることを願っています。

令和二年五月

有斐斎弘道館 館長 濱崎 加奈子

 

第一章 神歌 かみうた

第二章 三番三 さんばそう

第三章 献花杜若 けんか かきつばた

第四章 杜若 かきつばた

第五章 野守 のもり

第六章 鈴の段 すずのだん


緊急特別企画
「開物楽(かいぶつがく)ーみたまふりー」
出演 林 宗一郎 茂山 逸平 杉 信太朗 花士 珠寶
企画・テキスト 濱崎 加奈子
協力 青蓮舎
総制作指揮・撮影監督 渞 忠之
編集・助手 中西 月緒 橋口 天姫子
制作 令和二年(2020)五月
©️有斐斎弘道館