2025年6月22日、有斐斎弘道館月釜、2025年度第2回を開催しました。
この日の席主は、アメリカ南部ケンタッキー州出身のマイケル・ハーディ宗月(Michael Hardy Sogetsu)氏。梅雨の時節柄テーマは「一雨」。『一雨千山を潤す』の禅語のように、薄暗い雨の雰囲気に覆われた待合から、雨上がりの明るい本席へと流れる、ストーリー性のある趣向でした。

まず待合では、雨の日に読書する部屋の室礼で、カトリーヌ・ドヌーブ主演のフランス映画「シェルブールの雨傘」のレコードジャケットを眺め、雨音を聴きながら、雨の日のなぐさめに楽しみたい故郷の味Southern Comfortとして、アイススイートティーとマカロンでのお出迎え。

本席では、マイケル氏のこれまでのお茶との関わりを伺ったり、マイケル氏が歌うルイ・アームストロングのWhat a wonderful worldの一節を聴いたりしながら、見た目も涼やかな寒天菓子(銘:雨やどり♪)と薄茶一服のおもてなしでした。


室礼は、広間の床にはニューオーリンズのメキシカン・アートの太陽とルイ・アームストロングの絵画、最後の雨粒一滴が落ちた瞬間に見立てた現代アートのオブジェ、点前座には氏の故郷ケンタッキー州の草原をイメージさせる牧場の柵の形の結界(なんと手作りだそうです!)、また、水注ぎに見立てたロバの形のドイツ製の如雨露など国際色豊かなものでした。

一方、茶室の本床は大徳寺506世小田雪窓の「独座大雄峰」、茶杓は淡々斉作「澄心」、主茶碗は大樋九代長左衛門造「山海」、茶入は傘の大棗で一閑張、とオーソドックスで品格のある取り合わせでした。

今回の茶会は、カジュアルで親しみやすい雰囲気のなかに、古典と現代文化、故郷と日本、茶道への想いなどなど、亭主の「いま」を形作る様々な要素がさながら音楽のように重層的に響き合う、まさに「一期一会」を改めて感じる一会となりました。
有斐斎弘道館では、月釜の年間会員を募集しております。弘道館保存のための活動です。宜しくお願いいたします。
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◆開催概要
2025年度有斐斎弘道館月釜 第2回「一雨」
開催日 2025年6月22日(日)
席 主 マイケル・ハーディ宗月(Michael Hardy Sogetsu)
2003年JETプログラムで来日。大阪府豊能町で2年間英語指導助手を務め、その時に茶道に出会う。帰国後も、日系企業などに勤務しながら稽古を続け、2012年裏千家学園茶道専門学校外国人研修コースに入学。翌年、修了と同時に裏千家に入庵。2018年NHK教室講師を担当。2022年より京都産業大学で茶道講座を担当。茶道家として活動中。裏千家茶道歴22年。 茶名:宗月
※当イベントは終了しました。
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