【開催報告】信仰からみる京都2025「鞍馬駅と鞍馬寺【五月満月祭】」

今年度上半期の「信仰からみる京都」は、「歳時記をたどる路編」と題して、歳時記に焦点をあて、ゆかりの深い京阪沿線の土地を取り上げながら、京都の「知」を紐解いていきます。


5月17日(土)開催の第2回目は、「鞍馬駅と鞍馬寺【五月満月祭】」をテーマに、鞍馬という地に関する基礎知識、鞍馬寺の特徴、そしてテーマにもある五月満月祭について、講師である太田達が探訪し見聞した内容を中心に考察・論説をしました。
 
鞍馬は、さらに奥地の広河原や百井などで産する炭や薪などの燃料を都へ送る中継地、いわゆる「行商の基地」として発達しました。庭園などに使われる「沓脱石」や着火用としての「火打石」などの産地としても知られています。また、鞍馬の名産品と言えば「木の芽煮」ですが、これに使用している昆布は、北海道の松前から北前船で敦賀や小浜に運ばれたのち、京へ届けられますが、その最短ルートである鯖街道が通過する鞍馬にもたらされたことによって生まれたものです。

五月満月祭は、天上と地上の間に道が開けて強いエネルギーが降り注ぐという五月の満月の宵に行われる祭で、講師の太田は、実際に今年5月12日の祭に参加しました。当日は曇天でしたが、暗闇の中、参加者が手にする灯明をいっせいに捧げ、鞍馬山に祀られる本尊尊天に人類のめざめと世界平和を願って全員で祈ったその瞬間に、雲が割れ月の光が差し込んできた、とその時の様子をやや興奮気味に話していました。

その他、鞍馬にまつわる古典や、鞍馬寺境内の建築物などの太田の解説に、参加された受講者の方は、感心と納得の表情で聞き入っておられました。

今回の呈茶菓子は老松製の粟羊羹の「満月」でした。
本講座の会場参加では、抹茶とともに各回のテーマにちなんだ特別菓子も楽しめます。

次回の講座は、6月28日(土)に、「二軒茶屋駅と上賀茂神社【禊と祓/夏越の祓】」を開催します。
ぜひとも、皆さまのご参加をお待ちしております。
詳しくはこちらから


◆開催概要
開催日 2025年5月17日(日)
講 師 太田 達
京都市生まれ。立命館大学食マネジメント学部教授。有職菓子御調進所 老松当主。有斐斎弘道館代表理事。歴史、信仰、食文化を研究する一方、国内外で茶会を数多く開く。NHK『ようこそ先輩』、『美の壷』など多数出演。

※当イベントは終了してます。

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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