緻密で様々な技術を駆使した、帯の世界

ちょうど桜のおり、年に2回の催し、「帯を知る、帯を楽しむ」が開催されました。
今回は12回目となり、「染の織もの、縫いの織もの」をテーマに
西陣の織元さん8社が参加してくださいました。

多様な技に誇りをもつ西陣の職人さんたちによる、
帯における染め・刺繍の図案を織物で表現された作品がならびます。

帯を楽しむ20170409-1

また、43本の帯の展示される中、絣の職人さんにお越しいただき座談会を開催いたしました。

矢絣で知られる西陣絣は元々は着尺がメインで、細い糸を数多く使うのが特徴。武士の着物や能装束として使われ、現在では帯からインテリア、ネクタイ等も作られているそうです。
座談会では西陣絣の本流である「手くくり縦絣」の糸くくりの行程をデモンストレーションしていただきました。
緯糸をある程度の本数にまとめ、柄に応じて抜染したいところを特殊な紙で包み、その上から糸でくくります。

帯を楽しむ20170409-2

この作業を行う職人さんは、高齢化で少なくなっており現在わずか6人。そして現在はプリントの技術が非常に進み、パっと見、織りの柄と見まごうことも多いと言います。絣の作業は大変ですが、こうして人の手が入ることでとても人間味のある織物です。さまざまな課題もあるそうですが、このような貴重な技は繋いでいかなくてはなりません。

今回の展示は「染め」と「縫い」の2グループに分けて展示をおこない、弘道館の広間がとてもにぎやかでした!
作品のひとつひとつに詳しい説明書きがついている他、織元さんに直接お話を伺うこともできます。
それぞれの帯で使われた技術や文様について、または帯の文様にはどのような由来があるか、などなど、お客さま方もそれぞれ興味深く織元さんのお話を聞いておられました。

個人的には、今まで拝見したことのないような緻密で様々な技術を駆使したもの、今は入手しづらくなった手紡ぎの真綿を使ったおおらかな柄のものが、特に印象的でした。
知れば知る程に、これらの帯を制作するための技術の奥深さに圧倒されます。このような技の賜物である日本の着物の文化は素晴らしい。コストや効率が優先される時代の中で、どのようにこのような技術を継承し存続していくか。みなさんと共に考えていきたい課題です。

文:上村

次回は11月です!
西陣織そして帯を存分に楽しみ、学べる機会を、是非ぜひお楽しみに。

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
記事が面白かったら是非、シェアいただけると幸いです。