夜々の星

≪淇園コラム vol.3≫ 
皆川淇園は儒学だけではなく、書や画もたしなんでいましたが、筝曲の作詞家としての顔もあったそうです。今回は皆川淇園の作詞した地歌筝曲を一曲ご紹介します。
夜々の星
作詞:皆川淇園、作曲:光崎検校
王櫛笥、ふたたび三度思ふこと、思ふがままに書きつけて、見すれど海女のかづきして、苅るてふ底のみるめにも、ふれぬをいたみ頼みにし。
筆にさへだに恥かしの、軒のしのぶに消えやすき、露の身にしもならまほし。
ならまく星の光りすら、絶えてあやなくなるまでも、八夜九夜と思ひあかし、雲井をながめすべをなみ。袖の雫に堰き入るる、硯の海に玉や沈めん。
好きな人に手紙を送ったのに返事がない。片思いの恥ずかしさと惨めさで、毎夜星を眺めて暮らしていたけど、そんなことではダメだ、と涙を硯に溜めて、その涙で墨をつくって、もう一度手紙を書こう、という女の子の心境を歌う。
キエン先生、こんな乙女心が描けるなんで、憎いですね。
You tubeでは演奏も聞けるので興味のある方は聞いてみてはいかがでしょう。
(M.K.)
≪淇園コラム≫では、皆川淇園にまつわるあれこれを不定期にお届けします。

多くの方に有斐斎弘道館の活動を知っていただきたく思っております。
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